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緩和慣れする市場、日銀の基金増額と「物価目標」検討に円安・株高進まず

[東京 20日 ロイター] 日銀が基金増額と「物価目標」の導入検討を打ち出しても円安と株高は進まなかった。緩和を織り込んでいた投資家が持ち高を手じまったた面もあるが、緩和見送りとの見方もあっただけに、サプライズ的な要素がなかったわけでもない。

12月20日、日銀が基金増額と「物価目標」の導入検討を打ち出しても円安と株高は進まなかった。写真は2010年11月、都内で撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)

安倍新政権や日銀新執行部への期待感は継続しているものの、よほどの措置でなければ「緩和慣れ」してしまったマーケットが反応しないことへの不安も出ている。

<渋い市場の反応>

市場では今回の日銀決定会合について予想が分かれていた。12月日銀短観が悪かったことで、景気減速に対応した追加緩和が実施されるとの見方がある一方、足元で円安・株高が進んでいるほか、安倍新政権が発足する前であることから、緩和は見送られるとの声も少なくなかった。メディアの事前報道もまちまちで「為替市場で予想は半々だった」(国内証券・外為アナリスト)という。

このため10兆円の資産買い入れ基金増額など今回の緩和策について、サプライズ感がまったくなかったわけではない。日銀は「物価安定の目途」の見直しに着手するとしており、「インフレ目標導入など今後の期待などは継続し、材料出尽くし感は広がらない」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との声も多かった。

しかしながら、ドル/円はあらかじめ緩和を織り込んでいた短期筋のポジション巻き戻しに対抗できず、83円台まで下落。日経平均.N225は下げ幅を縮める場面もあったが、徐々に軟化し前場安値を下回った。ポジション調整が一巡した後で、海外勢などが再び追加緩和策を評価することもあり、ネガティブなムードが定着したわけではないが、市場の渋い反応に、マーケット参加者からは「今後、追加緩和してもよほどの大胆な策でなければ反応しないかもしれないとの不安がよぎった」(外資系証券エコノミスト)との声も出ている。

円安は数少ない景気への効果的な刺激ルートであり、日銀の追加緩和が円安効果が乏しいとなれば政策の手詰まり感は増す。

IGマーケッツ証券・為替担当アナリストの石川順一氏は、金融緩和に効果的な規制緩和や財政政策がセットになって始めて円安効果を発揮すると話す。「日銀がマネタリーベースを増やしても、銀行貸出が低迷したままでマネーストックが増えなければ為替への直接的な効果は乏しい。マネーストックが増えるためには規制緩和など既得権益に切り込む構造改革が必要だが、安倍新政権がどこまでできるかは未知数だ。現在はあくまで期待先行の円安に過ぎない」と指摘している。

<大型補正予算には不安も>

しかし、安倍新政権が打ち出す財政政策の最初の目玉となる2012年度補正予算については10兆円という規模観測が先行しているのが現実だ。師走選挙の結果、編成が例年より遅れる本予算を補うために補正予算編成が急がれるが、時間がない中での規模ありきの予算積み上げに「ばら撒き型」の措置が紛れ込むのではないかとの不安も強まっている。

シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏は、予想される大型補正予算に関し3つの問題点を指摘する。1)人的な供給制約などから実際に消化できる公共事業の量は多くない、2)短期間の立案では質の低い事業が多くなりやすい、3)財政支出を連続で続けなければ反動で景気を下押ししてしまう──。そのうえで、公共事業の落ち込みを避けるために大型補正予算を続けて出せば、国債格下げの可能性が大きくなると警鐘を鳴らす。

海外主要格付会社による日本国債格付けのヤマ場は、2014年4月に消費税率が予定通り8%に引き上げられるかどうか政治判断される2013年秋というのが一般的な見方だ。

しかし、みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「当面の景気刺激・デフレ脱却を重視して大規模な補正予算を年明けに編成するとともに、国債発行44兆円枠を2013年度当初予算案編成で破棄するなど、財政規律が大幅に緩んだと判断される場合には、早い段階で日本国債の格付けが引き下げられる可能性も排除できない」との見方を示している。

日本国債が格下げされれば円安が進む可能性も大きいが、「日本売り」への懸念も強まる中では、日本株が好感できるような円安にはならないとの見方が多い。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博)

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