[ラスベガス/東京 8日 ロイター] ソニー6758.Tは米国時間7日(日本時間8日)、世界初となる56型サイズの4k対応有機ELテレビを開発したと発表した。台湾の友達光電(AUO)2409.TWと共同開発。酸化物半導体の技術を応用し、有機ELパネルの大型化に成功した。
4k対応の有機ELモニターは、シャープ6753.Tが昨年6月、半導体エネルギー研究所(神奈川県厚木市)と共同開発した13.5型の試作品を発表しているが、56型のサイズは世界初。ソニーは、8日から11日まで米国ラスベガスで開催される家電見本市「CES」で参考展示する。今後、実用化・商品化に向けて取り組んでいくが、発売日については詳細を明らかにしなかった。
ソニーは2007年に世界初の11型有機ELテレビを発売したのに続き、2011年には、25型と17型の有機ELモニターを放送・業務用として発売するなど、有機ELパネルの大型化の研究開発を進めてきた。これまでの有機ELパネルは「低温ポリシリコン」と呼ばれる技術を使っていたが、パネルの大型化に課題があった。今回「酸化物半導体」と呼ばれる技術を採用し、有機ELの大型化を実現したという。
<4k液晶テレビを2機種追加、コンテンツ配信も>
またソニーは、フルハイビジョン(HD)テレビの4倍の解像度を持つ「4k」対応液晶テレビについて、今春に65型と55型の2機種を追加すると発表した。昨年11月23日に発売した84型の4k対応液晶テレビは価格が168万円。追加する65型と55型の価格は未定だが、普及価格帯を想定する。
4kテレビの普及に向け、対応コンテンツも拡充する。既存の映画作品を4kに処理したブルーレイディスク「マスタード・イン4k」を今春から10数タイトルで開始する。さらに、4kコンテンツの配信サービスを開始する予定。4k専用端末(メディアプレイヤー)をソニーの4k対応液晶テレビに接続することで4k対応の映画などを視聴できる仕組みで、今夏から始める。
<電池事業の売却検討、VITAは予想の下限に>
平井社長はCES会場で記者団に対し、リチウムイオン電池事業の売却を検討しているものの、まだ決定は下していないと述べた。平井社長は「中核事業に寄与しないあらゆる部門が(売却の)議論の対象になる」と語った。ソニーは昨年9月、化学事業を日本政策投資銀行に572億円で売却。さらに、37階建ての米国ニューヨーク本部ビルの売却も検討。同社は、資産売却を通じて、2013年3月期の連結最終利益200億円の予想を達成したい考え。
また平井社長は、昨年の年末商戦について「ほぼ予想と一致した」と振り返ったが、携帯型ゲーム機「プレイステーションVITA(ヴィータ)」の販売については予想の下限に位置しているとの見方を示した。2013年3月期の携帯型ゲーム機(プレイステーションポータブル含む)の販売計画は1000万台。期初に1600万台を計画していたが、第1・四半期決算で1200万台に引き下げたのに続き、今期に入って2度連続で予想を下方修正している。
(ロイターニュース ティム・ケリー 村井令二;編集 山川薫)
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