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2012年倒産件数は21年ぶり低水準、資金繰り支援効果で

[東京 15日 ロイター] 東京商工リサーチが15日発表した2012年の全国企業倒産(負債総額1000億円以上)は前年比4.7%減の1万2124件、負債総額は同6.7%増の3兆8345億6300万円となった。

1月15日、東京商工リサーチが2012年の全国企業倒産は前年比4.7%減の1万2124件、負債総額は同6.7%増の3兆8345億6300万円となった。写真は2008年、都内で撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

倒産件数は4年連続で前年を下回り、1991年(1万0723件)以来、21年ぶりの低水準となった。中小企業金融円滑化法のほか、セーフティネット保証(5号)や東日本大震災復興緊急保証など公的な資金繰り支援の効果が要因。ただ、中小企業金融円滑化法は今年3月末に期限が切れる予定で、「手厚い金融支援がなくなると倒産件数が増える可能性もある」(東京商工リサーチ担当者)という。

2012年は、月次ベースでは前年同月比で一進一退を繰り返したが、1、6、8、9、11、12月と年6回は1000件を下回った。これは91年(年間9回)以来のことで、倒産の減少ぶりが目立った。ただし、中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件変更利用後の倒産は年間249件で前年(150件)の1.6倍となった。これは業績回復が伴わない中小企業の息切れが多いことを示しているという。

年間の負債総額は2年ぶりに前年を上回った。ただ、93年以降の過去20年間でみると、2011年に次いで2番目に低い水準となった。これは負債1億円未満の倒産が約7割を占めるなど、小規模企業の倒産が中心だったため。

産業別では、建設業が前年比11.4%減の3002件で、4年連続の減少となった。特に復興工事が進む東北地区では同37.8%減と大幅に減少した。小売業も1431件と4年連続の減少となり、製造業、情報通信業、不動産業はそろって3年連続減となった。一方、運輸業は燃料価格の高止まりや輸出停滞による物流量低迷が響き、同14.2%増の473件となった。このほか、卸売業や金融・保険業なども件数が増えた。

原因別では、「販売不振」が8574件で前年比8.4%減少したものの、構成比では約7割を占めた。「赤字累積」は同22.4%増の1321件で、2年連続で前年を上回ったほか、伸び率が大きかった。

東日本大震災関連の倒産は年間487件(前年544件)となり、月平均40.5件で推移した。このうち上場企業の倒産は6件(同4件)で4年ぶりに前年を上回った。

このほか円高関連倒産は年間72件(同59件)、第三セクターなどの倒産は19件(同21件)となった。

<12月倒産件数は2カ月連続減>

12月の全国企業倒産(負債総額1000億円以上)は前年同月比13.7%減の890件だった。2カ月連続の減少。月次倒産が900件を割り込んだのは1991年9月(845件)以来で、21年3カ月ぶりの低水準となった。各種金融支援の下支え効果で倒産が抑えられた。

これに対し、負債総額は同41.5%減の2083億4600万円となり、3カ月ぶりに前年同月を下回った。

原因別では「赤字累積」が2012年としては最多の135件となり、金融支援策が中小企業の経営を下支えしているものの、業績回復が遅れて息切れする企業が多いことを裏付けた。

(ロイターニュース 大林優香;編集 佐々木美和)

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