[ニューヨーク 15日 ロイター] 米ハイテクセクターは今回の決算発表シーズンで、いつもと違う立場に置かれている。米企業全体の業績を押し上げるのではなく、反対に足を引っ張ろうとしているのだ。
トムソン・ロイターによると、ハイテクセクターは昨年第4・四半期の利益が1.1%減で2009年第3・四半期以来の減益となる見通しだが、S&P総合500種.SPX構成柄全体では利益は増加が予想されている。
中でも半導体は、パソコンの販売が予想より低調だったため業績が最もさえないだろう。海外の需要の弱さや米国の「財政の崖」をめぐる懸念もまた、企業が情報技術(IT)支出を先送りする原因になったとみられる。
チャールズ・シュワブのオマール・アギラー株式担当最高投資責任者は「欧州では経済が成長しなかったし、新興国市場も失速した。これが特にハイテクセクターには大きな重圧となった」と指摘した。
ハイテクセクターがさらに弱含めば、多くのストラテジストが掲げている今年の米株式市場の強気見通しが水を差されかねない。ただ、一部の投資家やアナリストは、第4・四半期の低調な業績は既に多くのハイテク株には織り込まれ、バリュエーションは魅力的だと主張している。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストチームは今週の調査ノートで、現在の株価と今後の業績見通しに基づく株価収益率(PER)に基づくと、ハイテク株は約32%も過小評価され、どのセクターよりも割安だとの見方を示した。ITサービスを除くハイテクの各業種はいずれも、過去のPERより低い水準で取引されているという。
ノーススター・インベストメント・マネジメントのエリック・カビー最高投資責任者は、ハイテク銘柄の中には「かなり低いPERで取引されながらもキャッシュを潤沢に抱えている多くの企業が発見される。その点は妙味を帯び始めている」と述べた。同社はマイクロソフトMSFT.OとインテルINTC.Oの株式を保有している。
ハイテクは、S&P総合500種の10セクターで最も規模が大きく、全利益の23%近くを占める。それが全体に対してアンダーパフォームするのは異例だ。トムソン・ロイターによると、ハイテクは過去4回の決算シーズンではずっと全体の上半分に位置し、ここ10年で全体よりも高い利益の伸びになったケースが83%もある。
アップルAAPL.Oは米企業利益を押し上げる大きな力の1つになる場合が多かったが、トムソン・ロイターのデータでは昨年10─12月期利益は前年比3.8%減少の見通し。S&P500種全銘柄は1.8%の増益になるとみられている。
同社が「iPhone(アイフォーン)5」の需要が想定を下回ったことを理由に部品の発注規模を絞ったと伝えられると、株価は今週再び下落した。
それでもカビー氏は、14日に昨年2月以降で初めて500ドルを割り込んだアップルの株価でさえ、バリュー投資家にとっては魅力度が増したように見えると話す。
<ハイテクの出遅れ示す指標>
ハイテク企業の決算発表は大半が来週以降だが、インテルは17日に予定している。
トムソン・ロイターのデータでは、半導体13社合計で四半期利益は28.4%減少、半導体装置製造4社では50.7%減少するとみられる。
第4・四半期の業績見通しについて既に警告を発しているのは、リストラ費用の計上を理由に挙げたテキサス・インツスツルメンツTXN.Oや、アプライド・マテリアルズAMAT.O、シスコシステムズCSCO.O、ヒューレット・パッカードHPQ.N、クアルコムQCOM.Oなど。
S&P500のテクノロジー指数.GSPTの昨年の上昇率は13.2%で、S&P総合500種指数の13.4%とほぼ同じだった。しかし昨年9月以降のハイテク株のアンダーパフォームを証明する指標が少なくとも1つ存在する。
ハイテク株上場投資信託(ETF)の「SPDR・XLKテクノロジー・ファンド」は昨年第4・四半期をマイナス6.1%で終えたが、S&P総合500種は同じ期間で1%の下落にとどまった。
(Caroline Valetkevitch記者)
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