[フランクフルト 21日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのバイトマン独連銀総裁は21日、中銀の役割を拡大し大胆な緩和政策を迫ることは、各国の競争的な通貨切り下げを招くリスクがあると警告した。
総裁はドイツ証券取引所が主催するイベントで講演した。そのなかで、日本政府が日銀にさらなる金融緩和を迫ったことは、ハンガリー政府の同国中銀に対する行為と同様、日銀の独立性を危険にさらしていると指摘。「両国では政府が積極的な緩和を求めて圧力をかけることで中銀の領域に大きく干渉し、その独立性を脅かしている。意図しようがしまいが結果的に為替レートの問題がますます政治問題化する可能性がある」と警鐘を鳴らした。
「国際通貨システムはこれまでのところ、通貨安競争に陥ることなく危機を切り抜けてきた。今後もそうであることを切に願う」と述べた。
ECBの下で欧州銀行の監督を一元化する計画については、中銀が本来の責務以外の役割を担うという世界的にみられる傾向の一環だと指摘。「中銀に過剰な役割や期待を課すことは持続可能な形で危機を克服する方法として全く不適切だ。各国中銀の独立性は役割を狭く解釈することによってこそ守られる」と述べた。
ドイツ経済については楽観的な見通しを示し、第1・四半期は恐らく「力が感じられない」ものの、その後は目に見えて上向くとの見方を示した。
また、欧州連合(EU)の諮問機関が提案する銀行のリテール部門と投資銀行部門の法的な分離について、ドイツ国内の銀行がもつ優位性を犠牲にすることなく預金を保護する効果があると述べ、これまでよりも同案に対して前向きな見解を示した。
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