[東京 24日 ロイター] 財務省が24日に発表した12月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は6415億円の赤字となった。赤字は6カ月連続。
中国向けや欧州向けの需要低迷による輸出減が響き、12月としては過去最大の赤字幅を記録した。同時に発表した2012年の貿易収支は7兆円近い赤字となり、過去最大を大幅に更新した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●輸出は持ち直しつつある
<大和総研経済調査部エコノミスト 橋本政彦氏>
12月貿易収支の赤字額は事前予想より悪化しているが、季節調整値の輸出金額をみると2カ月連続のプラスであり、輸出は持ち直しつつあると判断できる。アジア景気の底打ちに加え、欧州も下げ止まりの兆しが出てきた。今後は円安効果も加わり、輸出は回復に向かうとみている。株式市場にとっても悪くない指標だ。
●赤字幅は拡大続く、円先安観が為替の反応を左右
<三井住友銀行 市場営業統括部 チーフ・エコノミスト 山下えつ子氏>
輸出が伸び悩む一方で輸入が膨らみやすく、貿易収支は赤字基調が継続するという大方の見方を外れなかったので、為替マーケットでは大きな材料になっていない。貿易収支が材料になるかどうかについては、円安のトレンドにあるときは円安の理由にされやすいが、現在のように円安基調が少し調整されている時間帯には、貿易収支を見てもあまり大きな反応は出にくい。同じものを見ても、マーケットの参加者がどうとらえるかはその時々で違う。
円安基調の継続で、貿易収支では赤字が膨らむとみられる。1月にかけては、金額ベースの輸入が膨らみやすい。輸出が回復していかなければ、貿易収支の赤字幅は当面拡大するだろう。しかし、為替マーケットは実需の売買よりも投機的な売買の方が大きい。輸入が膨らんだ実際の影響よりも、円の先安観があるのかそうでないのか、その時々のマーケットの見方による相場への影響が大きい。
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