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ロイター企業調査:アベノミクスに高評価、物価目標も8割が「効果的」

[東京 25日 ロイター] 1月のロイター企業調査によると、拡張的財政政策と大胆な金融緩和を推し進める「アベノミクス」と呼ばれる政策について、回答企業の8割が賛成している。日銀によるインフレターゲット導入もデフレ脱却に「効果がある」との見方が8割にのぼることが明らかとなった。目先の景気浮揚やマインド効果への期待が評価の背景にある。ただ財政悪化への懸念から反対の声もあり、10年以内に欧州同様の財政危機に陥るとの見方も半数以上を占めた。

1月25日、1月のロイター企業調査によると、拡張的財政政策と大胆な金融緩和を推し進める「アベノミクス」と呼ばれる政策について、回答企業の8割が賛成している。写真は会見での安倍首相。11日撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

この調査はロイター短観と同時に実施、調査期間は1月8日から1月21日。大企業、中堅企業400社を対象とし、回答は260社。製造業135社、非製造業125社から回答をもらった。

<目先の景気浮揚が大事、8割が評価>

拡張的な財政政策・大胆な金融緩和について、将来的に財政悪化や行き過ぎたインフレを招くといった懸念も専門家の間にはあるが、企業はそうした副作用をある程度認めつつ、とにかく目の前の停滞感から脱することが先決という声が多かった。

具体的には、アベノミクスは短期的な景気浮揚効果が「かなり大きい」との回答が43%あった一方、「あまり大きくない」との回答が53%と上回った。

財政支出の中身が公共投資中心であることについては「評価する」が68%にのぼった。昨年9月の調査で公共投資への大規模支出が「妥当でない」とした回答が50%を占めたことと対照的だ。笹子トンネル事故などを受けて、インフラ補修の必要性が強まったことも背景と見られる。

アベノミクスの中長期的な副作用は「あまり大きくない」が62%と過半数を占め、「かなり大きい」の30%を大きく上回った。副作用があることは認識しつつも、現在は財政悪化による金利上昇も起こっていないなど、深刻な問題とは受け止めていない企業が多い。

こうした効果と副作用を踏まえた上で、安倍首相の主導する経済政策について「賛成」が81%を占めた。賛成意見には「閉塞感が強い現状では試してみる価値はある」(化学)、「円高是正による景況回復が喫緊の課題」(電機)、「大きな効果はなくても景気回復のきっかけになってほしい」(運輸)など、実際の効果よりもマインド変化による閉塞感打破を期待しているようだ。

反対の企業2割が指摘する理由は財政悪化懸念。「財政赤字の拡大と、非効率分野の温存」(輸送用機器)、「金融緩和の実効性や、従来の公共投資拡充型の財政政策にも疑問」(不動産)といった声があがる。

日本の財政状況について、欧州のような財政危機を発生させるとの見方も半数を超え、10年以内の発生を予想する回答は57%と過半数を占めた。うち、5年以内と比較的近い将来を予想する企業は3割にのぼる。

<日銀インフレターゲット導入はマインド効果>

日銀は2%のインフレターゲットを導入したが、こうした物価目標の導入がデフレ脱却に「非常に効果的」「多少は効果がある」との回答は8割を占めた。「宣言したことによるアナウンスメント効果」(化学)に期待する声が多いが、中には「説明責任が発生すると予想され、かなり本格的な政策が実行されるのでは」(輸送用機器)などアグレッシブな金融政策を予想する声もある。

ただし、そのうち「多少は効果がある」が7割を占めており、「通貨供給量だけではデフレ脱却は不可能」(卸売)、「賃金上昇が必要」(サービス)といった指摘も多い。

「ほとんど効果はない」「まったく効果なし」との回答も2割超あり、どちらかというと製造業の間でそうした見方が目立つ。「デフレの原因を見間違えているから対策もピントはずれ」(機械)といった厳しい指摘があり、デフレの真の原因は「売価低減がすべてのごとくといった企業サイドの姿勢」(化学)、「需給ギャップを埋めることが先決。金融政策でそれはできない。大規模財政政策とともに外需を取り込むためのTPP締結など、日本市場の全面開放を覚悟した政策が必要」(電機)との声もある。

(ロイターニュース 中川泉 編集:内田慎一)

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