[ダボス(スイス) 25日 ロイター] ダボス会議に出席している中国の政府系ファンド(SWF)、中国投資有限責任公司(CIC)の金立群・監事長(監査役会会長に相当)は25日、米ドルに対する世界の信頼を維持するために、米国は緩和的な金融政策の度合いを緩める必要があるとの考えを示した。
この他、フランスのモスコビシ経済・財務相やドイツ銀行の共同最高経営責任者(CEO)からも緩和的な金融政策に対する懸念が示された。
世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席している同監事長は、米ドルに対する懸念は持っているかとの質問に対し、「若干の懸念は持っている」と回答。オバマ政権は「財政の崖」問題を最終的に解決することができるとの見方を示しながらも、米ドルに対する完全な信頼を得るためには、米国は緩和的な金融政策の度合いを緩める必要があるとの考えを示した。
その上で「通貨戦争に勝者はいない。中央銀行にとり大切なのは、資金を必要なところに行き渡らせることだ」と述べた。
金監事長と同じ会合に出席していたフランスのモスコビシ経済・財務相は、他の国の中央銀行が実施している量的緩和策やその他の景気刺激措置により、ユーロが過大評価され始めていると懸念を表明。「ユーロの水準は明らかに高く、これにより一部問題が発生している」と述べた。
また、ドイツ銀行DBKGn.DEのジェイン共同最高経営責任者(CEO)は、ユーロ圏崩壊の懸念が後退したことがユーロ上昇の一部要因となったとしながらも、最近では米国の量的緩和策が要因となっているとの認識を示した。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が前年7月にユーロを守るためにあらゆる手段を尽くすと発言してから、ユーロは対ドルで10%、対円で20%以上上昇している。