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東芝が建屋内遠隔除染ロボット開発、日立は周辺で移動式焼却設備

2月15日、東芝は、東京電力福島第1原子力発電所事故の廃炉作業で、放射線量の高い原子炉建屋内を除染する遠隔操作ロボットを同社の横浜事業所で報道陣に公開した。写真は昨年5月、都内で撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京/横浜 15日 ロイター] 東芝6502.Tは15日、東京電力9501.T福島第1原子力発電所事故の廃炉作業で、放射線量の高い原子炉建屋内を除染する遠隔操作ロボットを同社の横浜事業所で報道陣に公開した。18日から福島第2原発で実証試験を行い、課題を洗い出したあと必要に応じて改良を加え、今夏ごろの運用開始を目指す。

ロボット前部のアームに取り付けたノズルからドライアイスの粒子を高速で床や壁に吹き付け、表面に固着した放射線物質を除去する。ドライアイスはすぐに昇華するため、二次廃棄物を極力少なくすることができるという。ドライアイスの粒子を使った技術はすでに航空機の塗装剥離などでも用いられている。

作業可能時間が30分程度と短いなど課題も多いほか、効果的な作業スピードなどの検証を進め、実機の運用に向けて改良する方針。また、現時点では原子炉建屋1階床面や高さ2メートル程度の壁面しか除染できないため、2013年度は2メートル以上の1階上層部、2階以上を除染対象としたロボットの開発も検討する。今回のロボット開発は、11年度の政府からの補助金計9億円が充当された三菱重工業7011.Tや日立製作所6501.Tも参画しているプロジェクト5つの中の1つ。

<日立はコンテナ式焼却設備>

一方、福島第1原発周辺の居住区などでの除染については、日立の全額出資子会社、日立エンジニアリング・アンド・サービス(茨城県日立市)が放射性物質の付着した稲わらや木くずなどを処理する移動式焼却設備を自主的に開発した。開発費用は非公表。

コンテナに焼却炉と集じん装置などを搭載し、一般道路を走行可能なトレーラーで除染対象物に近い場所まで移動させて焼却する。宇部テクノエンジ(山口県宇部市)から技術を供与してもらい、コーヒーかすなどの焼却で実績のある「浅層流動床炉」を採用、津波をかぶって水分を多く含んだ廃棄物も完全燃焼させることができる。1時間あたり20キロ―30キログラムの処理が可能で、焼却後の体積は10分の1に減り、保管しやすくなる。また、集じん装置で有害物質を取り除き、コンテナ内に閉じ込め、大気に放射性物質は放出させないという。

3月から福島県の自治体と実証試験を始め、4月以降、同県を中心に除染が必要な地域での活用を目指す。標準仕様での価格は1億―2億円程度。日立広報によると「受注はまだだが、実機を見たい、実証試験に立ち会いたいなどの問い合わせが入っている」という。環境省によると、放射性物質が付着した稲わらや堆肥、牧草は東北・関東地方を中心に約50万トン分が保管されており、対策が急務となっている。

(ロイターニュース 白木真紀)

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