[マドリード 28日 ロイター] スペイン政府が28日発表した2012年の財政赤字は国内総生産(GDP)比6.7%と、目標の6.3%には届かなかったものの、7%を見込んでいた欧州委員会やエコノミストの予想を上回る削減を達成した。
モントロ財務相は欧州委の見通し以上に財政赤字を削減したことを受けて、今年新たな緊縮措置を導入する必要はないとの考えを示した。
同財務相は会見で「われわれが達成したことは極めて大きくかつ重要」とし、スペインや地方政府の信頼回復に寄与するとの考えを示した。
その上で「今年追加の財政再建措置を導入する理由は全く見当たらない」とした。
赤字削減が進んだ背景には、小売り売上高の不振や企業活動の低迷にもかかわらず、12月の税収が堅調だったことがある。
同月の付加価値税(VAT)収は前年比176%増の32億ユーロ(42億ドル)、法人税収は112%増の約42億ユーロだった。
12月の税収増を受け、10月末時点で9%だった財政赤字の対GDP比率は7%以下に急激に改善した。
そのためエコノミストの間ではスペインが将来の税収の前倒し計上や業者への政府支払い遅延などを行ったのではないかとの見方も浮上している。
あるシンクタンクのエコノミストは「この経済環境ではあり得ない数字だ。一部で納入業者への支払い遅延や将来の税収分の前倒し計上があったのではないかとみている」とし、実際にそうであれば「2013年に問題を先送りしているだけだ」と述べた。
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