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愛知沖でメタンハイドレート生産に成功、実用化には課題も

3月12日、経済産業省資源エネルギー庁は、愛知県と三重県の沖合の深海で天然ガスの一種であるメタンハイドレートの産出に成功したと発表した。写真は石油天然ガス・金属鉱物資源機構提供(2013年 ロイター)

[東京 12日 ロイター] 経済産業省資源エネルギー庁は12日、愛知県と三重県の沖合の深海で天然ガスの一種であるメタンハイドレートの産出に成功したと発表した。

同庁によると海洋でのメタンハイドレートの生産成功は世界初。日本近海に豊富な埋蔵が見込まれるため、国産資源としての期待は高いが、商業ベースでの本格的な実用化には採掘技術やコストなどで課題があるという。

今回の地点は、愛知県の渥美半島から約80キロ、三重県の志摩半島から約50キロの沖合。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(独立行政法人)が事業主体となり、操業を担当した石油資源開発1662.Tが地球深部探査船「ちきゅう」を用いて、メタンハイドレートを分解し天然ガスの成分を取り出す試験の準備を1月下旬に開始。深度約1000メートル海底面からさらに270─330メートル下にあるメタンハイドレート層まで掘削装置を貫通させ、12日に生産実験を始め天然ガスの生産を確認した。この試験は約2週間実施し、生産されたガス量の集計や実験結果の解析を行う。

エネ庁によると、過去の探査で今回の海域(東部南海トラフ)には、日本の天然ガス消費量の約11年分に相当する1.1兆立方メートルのメタンハードレートの埋蔵が推定されている。政府の計画では2018年までに取り出す技術を完成させることを目標に置いている。エネ庁の担当者は実用化までに「10年以上かかると見込んでいる。(克服すべき課題は)まだまだある」との見通しを示す。

メタンハイドレートは天然ガスの主成分であるメタンが低温、高圧の状態で結晶化した物質。主に海底に分布するが、陸地では永久凍土の中に存在することもある。石油や天然ガスだと生産井から自噴するように取り出せるが、メタンハイドレートの場合、シャーベット状という形状のため簡単に取り出せないことが難点だ。今回の試験でも、「ポンプで吸い上げるという、人工の手間をかけているので、その分コストが割高になる」(同)と課題が指摘される。

(ロイターニュース、浜田健太郎)

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