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焦点:キプロス支援、合意できない場合のシナリオ

[ブリュッセル 21日 ロイター] 欧州連合(EU)はキプロスに対し、25日の営業時間終了までに、約60億ユーロを調達する計画をまとめ、欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)と金融支援で合意するよう求めた。

3月21日、欧州中央銀行は、キプロスが支援策で合意できない場合、キプロス向けの緊急流動性支援を中止すると表明している。ブカレストのキプロス銀行支店で19日撮影(2013年 ロイター/Bogdan Cristel)

欧州中央銀行(ECB)は、支援で合意できない場合、キプロス向けの緊急流動性支援(ELA)を中止すると表明している。

キプロス経済は、銀行・金融・観光に依存しており、ELAが断たれた場合、国内経済は崩壊しかねない。

銀行は25日まで休業となっており、それまでに合意を成立させる必要がある。

以下に考えられるシナリオをまとめた。

<支援策で合意、銀行が営業再開>

政府が銀行休業を延長しない場合、大手リテール銀行(バンク・オブ・キプロス、キプロス・ポピュラー銀行、ヘレニック・バンク、USBバンク)は26日午前から営業を再開する。

この時点までにEU・IMFとの合意が成立すれば、大規模な混乱を回避できる公算が大きい。

特に海外預金者から大量の預金の引き出しがあるとみられるが、ECBは引き続き緊急流動性支援を実施できる。

市場がこれを好感し、落ち着きを取り戻せば、最終的には資金が国内に戻る可能性もある。

これが最善のシナリオといえるが、この場合も銀行の再編は避けられないとみられる。

<支援策で合意できないまま、銀行が営業再開>

25日遅くになってもEU・IMFとの合意が成立せず、銀行休業も延長されない場合は、混乱が拡大する可能性が高い。

銀行が営業を再開した場合も、預金の引き出しを求める顧客が殺到し、早期に営業中止を余儀なくされる恐れがある。

特に国内2大銀行で今回の問題の影響を大きく受けているキプロス・ポピュラー銀行とバンク・オブ・キプロスはその可能性が高い。

銀行休業が延長される可能性もあるが、預金者は現在、現金自動預払機(ATM)からしか預金を引き出せない状況で、休業が長引けば、社会不安が高まる恐れがある。

ただ、どちらのシナリオも理論上の仮定で、ECBの支援を受けられなければ、銀行は破綻するとみられる。

<資本規制>

EU・IMFとの合意が不可能であることが25日までに判明すれば、キプロス議会が金融機関に対する資本規制を導入する可能性がある。

法案はすでに議会に提出されている。

資本規制は、当面の預金流出を制限する内容となる可能性がある。危機発生前の預金残高は700億ユーロ前後。

ただ、資本規制を導入しても、2大銀行をはじめ、銀行の支払い能力の改善にはつながらない見通し。

<バッドバンクの設立>

EU高官は21日、「グッドバンク」と「バッドバンク」の設立が必要になる可能性があるとの認識を示した。

最善のシナリオでは、グッドバンクがすべての健全債権と預金保険対象の預金(10万ユーロ未満の預金)を継承し、バッドバンクがすべての不良債権と預金保険対象外の預金(10万ユーロ超の預金)を引き継ぐ。

EU高官は、バッドバンクの預金に対し、30─40%の「ヘアカット」を適用する必要があると指摘している。

ただ、キプロスには預金保険の裏付けとなる資金がなく、預金保険対象の預金も全額は返還されない可能性がある。

国内では銀行への不信感が募っており、救済策で合意が成立し、ECBが緊急流動性支援を継続した場合も、銀行が営業見合わせを余儀なくされる恐れがある。

キプロス中銀は21日、国内2位のキプロス・ポピュラー銀行には破綻を避けるため再編が必要との認識を示した。

<ユーロ離脱の可能性>

銀行システムが崩壊した場合、国内経済は麻痺し、一時的に混乱が広がるとみられる。

その後の経済の建て直しには、通貨の大幅な切り下げが最も有効とみられるが、通貨切り下げには、ユーロ離脱が必要になる。

EU高官はロイターに「金融セクターが崩壊すれば極めて大幅な通貨切り下げが必要になり、自国通貨を復活させる以外に道はなくなる」と述べた。

ただ、一部のユーロ圏当局者は、経済が破綻した場合も、ユーロ圏の内部で対応することが望ましいとの認識を示している。

<伝染>

政策当局者は、今回の問題が他のユーロ圏諸国に波及するリスクは小さいとみている。

ギリシャの国内総生産(GDP)はユーロ圏全体の2%と小規模だったが、キプロス経済はさらに規模が小さく、ユーロ圏全体の0.2%にすぎない。

キプロスの銀行部門の規模はGDPの8倍、海外からの預金が多いなど、特殊な状況といえる。当局者は今回のような問題が他のユーロ圏で繰り返されることはないとみている。

銀行不信が他のユーロ圏諸国に広がれば、ECBが信頼回復まで流動性を供給することが可能だ。

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