[ダルエスサラーム(タンザニア) 25日 ロイター] 中国の習近平国家主席は、就任後初の外遊の一環としてアフリカ歴訪を開始した。アフリカ大陸は世界第2位の経済大国となった中国にとって、資源獲得の面で重要性が増しているほか、有望な市場として期待が高まっている。
ただ、中国とアフリカの経済関係が深化する一方、アフリカ諸国の間では、資源が中国に奪い取られ、中国から輸入される最終製品への依存度が高まっていることに懸念も広がっている。
アフリカでは一般的に、西側諸国の影響力とのバランスを取る存在として中国が認識されているが、関係の成熟化につれて、政策当局者やエコノミストからはもっとつり合いの取れた貿易関係を求める声が出始めている。
ケニアのシンクタンク「インター・リージョナル・エコノミック・ネットワーク」の代表者、ジェームス・シクワティ氏は、習主席アフリカ歴訪の目的について、中国のアフリカ進出は単に資源だけが目的だという懸念を和らげることにあると指摘する。
欧米とは異なり、人権問題などでとやかく言ってこない中国による支援はアフリカで歓迎されているものの、中国の思惑をめぐる懸念は日増しに強くなっている。
ダルエスサラームの大学生、Lisa Mgayaさんは「中国は多くの開発支援を寄せてくれているが、何かしらの見返りを欲しているのは間違いない」と指摘。「中国には警戒するべき」と語る。
<BRICS首脳会議にも出席>
ナイジェリア中銀のラミド・サヌシ総裁は今月、英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、中国とアフリカの貿易不均衡は本質的に「植民地主義」だとし、新たな形の帝国主義にアフリカ大陸がさらされることに警戒感を示した。
中国はこうした見方を嫌う。
中国の鐘建華・アフリカ事務特別代表(特使)は「西側諸国の遺産は、アフリカは西側諸国に感謝すべきだとの感情であり、自身が西側ほど良くないことをアフリカは認識すべきとの考えだ」と指摘。「それは容認できない」と述べた。
習主席は24日、タンザニアの商業都市ダルエスサラームに到着。既に同国のキクウェテ大統領との間で、10数件の貿易契約などに調印した。同地では演説も行う予定だ。
契約には、港湾や工業団地の共同開発のほか、通信インフラ向けの優遇条件付き融資やタンザニア政府向け無利子借款が含まれている。融資やプロジェクト規模の詳細は明らかにされていない。
習主席は26─27日に南アフリカを訪問し、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議に出席。その後はコンゴ共和国も訪れる。
中国は昨年、コンゴから54億トンの原油を輸入。全体の2%にすぎないが、将来的に拡大する可能性もあるとみられている。
( 記者 Fumbuka Ng’wanakilala 、George Obulutsa 執筆協力 Ben Blanchard in Beijing 執筆 Richard Lough;翻訳 川上健一;編集 山川薫)
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