[東京 1日 ロイター] 日銀が1日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第53回)によると、消費者の想定する1年後の物価上昇率が中央値でプラス3.0%となり、前回12月調査から上昇した。物価上昇を見込む人の割合も増加している。
調査では、1年後の物価について「現在と比べて何%程度変化すると思うか」と質問。結果は、中央値でプラス3.0となり、前回調査のプラス1.0%から上昇した。5年後については、年平均で同プラス2.0%となり、前回と同水準だった。また、1年前と比べた現在の物価上昇に対する認識は中央値でプラス0.2%となり、前回の0.0%から上昇した。
1年後の物価が「かなり上がる」または「少し上がる」との回答は74.2%と前回調査の53.0%から大きく増加した。これは2008年9月調査以来の高水準。一方、「かなり下がる」または「少し下がる」との回答は3.9%に減少した。5年後も同様に、上がるとの回答が増加する一方、下がるとの回答が減少している。
安倍晋三首相が掲げるデフレからの早期脱却を実現するため、黒田東彦総裁ら日銀新執行部は消費者物価の前年比上昇率で2%とする目標の達成に全力をあげる姿勢を明確にしている。市場や企業、家計の期待に働きかける手法も重視しており、今後、家計の物価見通しがどのように変化するかも注目される。
景況感については、現在の景気が1年前より「良くなった」と答えた人の割合から、「悪くなった」と答えた人の割合を差し引いた景況感指数(DI)がマイナス22.6となり、前回調査に比べて28ポイントの大幅改善。07年6月調査以来の高水準となった。1年後についてもプラス6.8%と前回のマイナス33.1%からプラス圏に浮上。過去最高の水準となった。
同調査は満20歳以上の個人4000人を対象に2月7日─3月6日に実施され、2347人が回答した。
(ロイターニュース 伊藤純夫:編集 内田慎一)
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