[東京 23日 ロイター] 東京外為市場正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル安/円高の98円後半。大手生保が外債投資に慎重な姿勢を示していることや、中国の製造業PMIが前月比で低下したことをきっかけに、前週末から円売りポジションを膨らませていた投機筋がいっせいに手仕舞いに動いた。
ドルは朝方99.38円付近まで上昇したが、正午までには99円を下回って一時98.72円を付けた。「G20で日本の政策にお墨付きをもらうという期待等から、先週末100円の手前まで買い上がった海外勢が(円売りポジションを)投げている」(投資家)。生保が外債投資を拡大するとの思惑から、円売りポジションを投げずに保有していた海外短期筋にも「生保が今は外モノ(外債など)を増やさない、というメッセージが伝わり、円売りポジションをいったん解消せざるを得なくなった」(同)という。
一方、輸出勢は、100円を超えた水準でドル売り予約を進めているとされ、昨日から100円超の水準でのオファーの厚さが意識されている。
HSBCが23日発表した4月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)速報値は50.5となり、3月の確報値51.6から低下した。 ただ、前月比での景況判断の分かれ目となる50は上回った。
豪ドルは中国PMIを受けて一時1.0222米ドル付近まで軟化。クロス円も総じて軟調となり、ユーロ/円は朝方の高値129.83円から一時128.84円と約1円の下げ幅となった。
中国工業情報省は23日、中国企業の経営環境は依然厳しく、引き続き生産過剰という問題に直面しており、投資意欲はない、とする声明を発表した。 さらに、中国経済は内外の不安定・不確実要因に直面していると指摘した。
<生保の運用計画>
海外短期筋は、生保などの機関投資家が新年度入り後に外債投資を膨らませると期待していたが、実際の運用計画では慎重な姿勢が示された。
日本生命保険は22日、2013年度の一般勘定資産について、黒田日銀による異次元緩和で国債利回りが低いまま推移すれば、超長期国債への投資を抑制し、為替ヘッジ付きの外債などでの運用を検討することを明らかにした。より円安メリットが享受できるオープン外債への投資については「今の(為替)水準ではコーシャスに構えたい」とし、同社が掲げる「円金利資産7割・それ以外で3割」とする運用姿勢そのものは崩さず、引き続き安定収益の確保を狙う考えを示した。
日本生命は、1)一般貸付、2)国内債券、3)ヘッジ外債の3本柱を「円金利資産」としている。日本生命によると、12年度末時点で同社の一般勘定資産は52兆4400億円と、前の期より簿価ベースで1兆6000億円増加した。これが、今年度は約1兆円増える見通しという。
同社の今年度為替予想レンジは、ドル/円が93円から103円、ユーロ/円が117円から137円。
全体として(為替ヘッジをしないオープンも含めて)外債を増やすのか、との質問に対しては「低金利が継続した場合は、ヘッジ外債ないし、オープン外債が増加することになるだろうが、足元ですぐにそうするというわけではない」とした。
(ロイターニュース 森 佳子)
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