[ウィーン 23日 ロイター] 包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)は23日、2月に北朝鮮が実施した3回目の核実験で放出されたとみられる放射性希ガスが、実験場所から約1000キロ離れた日本の高崎市で検出されたと発表した。北朝鮮が核実験を実施したことを裏付ける証拠となる。
検出されたのは実験から約2カ月後の4月9日。CTBTOの報道官は、実験で使われたのがプルトニウム型か濃縮ウラン型かは判別困難と説明した。
初回の2006年と、2回目の2009年の核実験はプルトニウム型爆弾だとされている。3回目で濃縮ウラン型に転換したとすれば、北朝鮮の兵器の性能が大幅に強化されたと言え、国際社会にとって深刻な懸念要因となる。
CTBTOは世界各地に観測所を置いている。2月の実験時には、ほぼ同時に世界中で地震のような振動が観測された。しかし、実験を裏付ける放射性物質は、その後数週間たっても検出されなかった。3月中旬、CTBTOは放射性物質が検出される可能性は低いとの見解を示していた。
CTBTOが23日発表した声明によると、ロシアのウスリースクでも、高崎より低いレベルの放射性希ガスが検出された。
声明は「キセノン131mとキセノン133という2種類の放射性同位元素の希ガスが検出された。これらは、放出源を特定する信頼できる情報」とした上で、「検出されたのが、実験から7週間以上も後というのは異例。このようなことは想定しておらず、2009年(前回の北朝鮮の核実験)の時もこんなことはなかった」と説明。
放出された場所は(北朝鮮の)実験場の可能性が高いとしたが、別の場所である可能性もまだ「完全には排除」できないとしている。
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