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焦点:米アマゾンがネット広告に本格参入、大量のデータが強味

[サンフランシスコ/ニューヨーク 24日 ロイター] 米アマゾン・ドット・コムAMZN.Oは広告業界で「眠れる巨人」として知られる。インターネット小売り世界最大手として消費者の買い物行動に関するデータという宝の山を抱えながら、それを生かしてこなかったからだ。

4月24日、米アマゾン・ドット・コムが、ネット広告事業に本格参入し始めた。米コロラド州で2008年7月撮影(2013年 ロイター/Rick Wilking)

しかしアマゾンは今、この有望な分野に目を向けつつある。この数年は自社のウェブサイトで広告を掲示してきたが、一部の大口広告主向けに、蓄積したデーターを利用したターゲット広告サービスを提供し、真のネット広告会社になるべく一歩を踏み出した。

同社が昨年末に立ち上げたモバイル広告ネットワークは、アップルAAPL.Oの「iPhone(アイフォーン)」やグーグルのGOOG.Oの基本ソフト(OS)「アンドロイド」対応機器などスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末向けにアプリケーションソフトを通じて広告を展開している。

広告ビジネスはネット小売りよりも利幅が大きく、アマゾンにとって新たな収入源となっている。一方、グーグルやフェイスブックFB.Oなどネット広告の先行企業にとって、買い物関連のデータを持つアマゾンは脅威だ。顧客がいつ何を買ったのかというデータを広告主は喉から手出るほど欲しがっている。

メルセデス・ベンツUSADAIGn.DEなどを顧客に持つデジタル広告代理店レーザーフィッシュのチーフ・メディア・オフィサー、ジェフ・ランコット氏は「今日のマーケティングの世界ではデータは黄金であり、アマゾンは金塊保管庫だ」と話す。

ランコット氏は、アマゾンは以前は広告ビジネスに熱心ではなかったものの「今ではこの分野に投資すると決めたに違いない。広告主が何を望んでいるか、必要なデータは何か、どのような尺度を模索すべきかなどの情報を集めるべく組織的に取り組んでいる」とその変貌ぶりを説明する。

<10億ドルの収入源に>

イーマーケッターによると、米国のネット広告業界ではグーグル、ヤフーYHOO.O、マイクロソフトMSFT.O、フェイスブック、AOLAOL.Nの5社が全体の3分の2を握っている。しかし業界関係者によると、買い物行動のデータを持つアマゾンの立ち場は特別だ。同社の参入で競争は激化するだろうが、打って出るだけの価値はありそうだ。

マッコーリーのアナリスト、ベン・シャクター氏によると、ネット広告の利益率は20─30%で、アマゾンのネット小売りは5%以下にすぎない。

アマゾンはネット広告事業の業績を公表しておらず、広報担当者もコメントを避けた。しかしアナリストは、同部門の売上高は既に少なく見積もっても年5億ドルになったとみている。

アマゾンの元幹部でネット商取引関連企業を経営するデービッド・セリンガー氏は最近、アマゾンの広告事業の売上高が今年は10億ドルに達するとの見通しを示した。今年の総売上高見通しの750億ドルからすればわずかだが、シェアを伸ばせば重要な収入源になり得る。イーマーケッターは米国のネット広告市場が2015年には500億ドルに拡大すると見込んでいる。

マッコーリーのシャクター氏は「ネット広告分野でヤフー、ファイスブック、AOLと競える存在になるのは確実」と話す。

<他のウェブサイトにも進出>

アマゾンの自社サイトでの広告掲載は2011年から増えていたが、広告業界や金融業界の血を本当に騒がせたのは同社が他のサイト向けの広告事業に乗り出したことだ。シャクター氏は「アマゾンのサイトは数が少ない。その枠から踏み出せば、ものすごい数のサイトを活用できる」と指摘する。

アマゾンは2010年から密かにこうした事業を開始していたが特に名称は付けず、昨年半ばになって初めて「アマゾン・アドバタイジング・プラットホーム」と命名した。現在は米国、英国、ドイツのウェブサイトに数千件の広告を提供しているという。

アマゾンの技術は、第三者のサイトにリアルタイムで広告を掲示する。同社は消費者の検索、買い物情報を15年間にわたって蓄積しており、この情報を生かして顧客に製品を売り込む。こうしたデータを使えば広告枠を効率的に購入し、ぴったりの顧客に、最適のサイトにおいて、絶妙のタイミングで広告が打てる。

関係筋によると、ある大手娯楽関連会社は昨年、アマゾンと組んで映画の宣伝活動を展開した。アマゾンでのDVDや本、音楽などの購入履歴を基に映画館に足を運びそうな顧客を狙い撃ちした広告を掲載し、広告の表示回数(インプレッション)やクリックの回数が平均を上回ったという。

顧客情報で武装したアマゾンは広告枠取引でも強気に出られる。その広告枠のクリック数が多いと確信が持てるからだ。ターゲット広告の精度が高いため、高い広告料を取ることもできる。

カンター・メディア・コンピートのチーフ・リサーチ・オフィサー、ヤーコフ・キメルフェルド氏は「アマゾンはもう小売り企業ではなく、世界最大の行動マーケテイング会社だ」と述べた。

(Alistair Barr、Jennifer Saba記者)

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