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アングル:新型Xbox発表へ、ゲームにかける米マイクロソフトの思惑

[サンフランシスコ/シアトル 18日 ロイター] 米マイクロソフトMSFT.Oが21日、満を持してゲーム機「Xbox」の新機種を発表する。8年ぶりの新型機投入で、650億ドル(約6兆7000億円)規模のゲーム市場でシェア拡大を目指す。

5月18日、米マイクロソフトが満を持してゲーム機「Xbox」の新機種を発表する。8年ぶりの新型機投入で、650億ドル(約6兆7000億円)規模のゲーム市場でシェア拡大を目指す。写真は2011年9月、千葉県で撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

同社は21日の発表で、テレビとの統合強化やモバイル端末との連携など多くの改善点を披露し、新型Xboxで家庭の娯楽の中心的存在を狙う意向だ。しかし、据え置き型ゲーム機市場では、ソニー6758.Tの「プレイステーション4(PS4)」や任天堂7974.OSの「WiiU」など強力なライバルが待ち構えている。また、オンラインゲームの人気拡大は、据え置き型ゲーム機の全盛期が終わったことも示唆している。

マイクロソフトによれば、据え置き型ゲーム機は、成長を続けるゲーム市場で約42%と依然最大のシェアを握る。しかし、スマートフォンやタブレット端末でのゲーム利用のほか、ソーシャル・ネットワーク上でのゲームも急速に人気を集めている。

据え置き型の販売台数は過去4年にわたり減少が続いており、その理由は主として端末の経年化だが、他社から発表された次世代機も市場を盛り上げるカンフル剤にはなっていない。

任天堂が昨年11月に発表した「WiiU」は、2013年3月末までの販売台数が345万台にとどまり、同社の当初の予想550万台を大きく下回った。ソニー「PS4」への期待も今ひとつ盛り上がりに欠ける。

調査会社インターナショナル・データ・コープ(IDC)のリサーチマネジャー、ルイス・ワード氏は「次の波の頂点は以前ほど高くない」と指摘。2005─2012年の「Xbox360」「PS3」「Wii」の累計販売台数を2億5000万台と見積もる同氏は、「据え置き型は商品カテゴリーとしてはピークを打ったと考えており、次世代機は旧モデルの累計販売台数に届かないだろう」と語った。

<低い利益率>

世界最大のソフトウェアメーカーであるマイクロソフトにとって、「Xbox」そのものは業績の原動力ではない。エンターテイメント&デバイス部門は今年初めて売上高が100億ドルに乗る見通しだが、それでも稼ぎ頭であるウィンドウズ部門の半分に過ぎない。利益率も平均15%以下と、ウィンドウズやオフィスの約60%に比べ大きく見劣りする。

しかしXboxは、マイクロソフトが米グーグルGOOG.Oや米アップルAAPL.O、米アマゾンAMZN.Oなどとリビングルームの主役の座をめぐって戦う上では、引き続き重要な武器であることに変わりはない。

デジタル・ワールド・リサーチのP.J.マクニーリー最高経営責任者(CEO)は「新型Xboxはマイクロソフトにとって相当に重要だ」とし、ソニーや任天堂との直接対決以上に、アップルやグーグルを相手に消費者の時間を奪い合うことがより重要な意味を持つとの見方を示した。

それはつまり、マイクロソフトは、ゲーム愛好家からテレビ視聴者、音楽ファンまで幅広い層を同時に狙っていくことを意味する。そのために新型Xboxではテレビとの一体感を従来機種より大幅に高め、モーションセンサー「キネクト」を通じてジェスチャーでチャンネルを変えたり、映画を購入できるようにすると業界筋はみている。また一部では、Xboxをタブレット端末やスマートフォンと連携させるソフト「スマートグラス」について、さらなる発表があるとみている。

(Malathi Nayak記者、Bill Rigby記者;翻訳 宮井伸明;編集 新倉由久)

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