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焦点:米フェイスブックに早くも「中年の危機」到来か

[サンフランシスコ 5日 ロイター] - インターネット全体を支配するかにさえ見えたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界最大手の米フェイスブックFB.O。しかし、一夜にして頂点からの転落もあり得るネット業界では、フェイスブックがすでに「中年の危機」にさしかかっているとの声もささやかれ始めた。

6月5日、インターネット全体を支配するかにさえ見えた米フェイスブックだが、一夜にして頂点からの転落もあり得るネット業界では、同社がすでに「中年の危機」にさしかかっているとの声もささやかれ始めた。写真は5月撮影(2013年 ロイター/Dado Ruvic)

ネットユーザーのフェイスブック離れが始まっているとの懸念は、米株市場全体が堅調に推移する中で同社の株価を圧迫している。4日の終値は23.52ドルと約半年ぶりの安値水準となり、昨年5月の新規株式公開(IPO)時からは約40%の下落となった。

とはいえ、世界で約11億1000万人いるユーザーのプロフィルや興味などの膨大な個人データを抱え、他のさまざまなサービスの入り口として機能しているフェイスブックが、大勢のユーザーを一気に失うリスクは当面は極めて低いとみられる。

ニールセン・メディア・リサーチの調査によると、ネット利用者はグーグルやマイクロソフト、ヤフーなどの競合サービスよりもフェイスブック上で多くの時間を費やしており、フェイスブックのページを毎日訪れるユーザー数は第1四半期は59.9%となり、前四半期の58.3%から増加した。

<無料通話アプリの時代到来か>

一方、ピュー・リサーチ・センターが発表した報告書によると、10代の若者はフェイスブックを他のソーシャル・サービスより利用しているものの、フォーカスグループ調査では、成人ユーザーやつまらない投稿が増加していることを理由に、フェイスブックへの興味を失いつつあることが明らかとなった。

フェイスブックにとって最も差し迫った脅威は、メッセージや写真を共有できる無料通話・メールアプリの台頭だと専門家らは指摘する。こうしたアプリはすでに多くのユーザーを獲得しており、フェイスブックを脅かす存在となっている。LINE(ライン)は約2年間で1億4000万人のユーザーを獲得。自動消滅機能付きの写真共有アプリ「スナップチャット」は昨年12月に1日当たり約5000万枚の写真が共有されていると発表した。

一方、同社のシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は、若者がフェイスブックから離れつつあるとの意見を一蹴。IT技術系のニュースサイト「オールシングスデジタル」の会合で、他のソーシャル・サービスが拡大しようとも、フェイスブックは今後も成長を続けていくと強調した。

しかしフェイスブックも証券取引委員会(SEC)への提出書類の中で、若いユーザーの一部は同社が昨年9月に買収した写真共有アプリ「インスタグラム」などに時間を費やし、フェイスブックの利用時間を減らしていることを認めている。

IT調査会社サンド・ヒル・インサイツの創設者、チャック・ジョーンズ氏は、もしフェイスブックが自社製品を改良し続けることができなければ、多くの他のサービスがいずれフェイスブックを凌駕(りょうが)することになると指摘。「向こう3―5年のうちに、スナップチャットのような無数のアプリにフェイスブックが息の根を止められる日が来るかもしれない」と語った。

また、少し前まではフェイスブック内に取り込まれるかに思われた他のインターネット上のサービスも、独自のネットワークを維持している。オンラインショッピング・サービスを提供するオープンスカイのジョン・キャプラン最高経営責任者(CEO)は、「かつてはフェイスブックがインターネットを支配すると皆が想像した」が、今ではその兆しはほとんど見られないとし、「われわれがフェイスブック内でサービスを提供しないのは、そこでショッピングをしないからだ」と述べた。同様に、ビジネス向けSNSはリンクトインが、最新ニュースや著名人の動向はツイッターが、インターネット検索事業はグーグルが支配を続けている。

フェイスブック元幹部のネット・ジェイコブソン氏は、同社にとって焦点を絞った事業展開は悪いものではないと指摘する。「何もかもを求めれば使命を失う。あまりに多くをつかもうとすれば肥大化し過ぎ、人々もそれを感じる」と述べた。

<自社アプリ「Home」の問題>

今年に入り、ダウ工業株30種.DJIが16%、ナスダック総合指数.IXICが14%上昇する中、フェイスブック株は約12%下落しているが、アナリストらは、同社のアンドロイド搭載機向けのアプリ「Home」の出来が株価下落の一因ととみている。

大々的に発表されたHomeだが、グーグルのコンテンツ配信サービス「グーグル・プレイ」での評価は5点満点中の2.5点。スマートフォン画面の中心かつ前面にフェイスブックを押し出す同アプリ最大の特長について、多くのユーザーは「バグ」とみなして不満を寄せているという。AT&TT.NはHome搭載モデルを発表わずか数週間後に99ドル(約1万円)から99セントに値下げした。

フェイスブックの元マネジャーで、現在はベンチャーキャピタルのグレイロック・パートナーズに勤務するジョシュ・エルマン氏は、Homeの欠陥はフェイスブックの製品開発チームの視野が狭く、一般ユーザーの使い方を把握していないことを示唆するものだと述べた。

専門家らは、競争が一段と激化する分野でフェイスブックが頂点に立ち続けるための鍵となるのは、他社の製品1つ1つと張り合うよりはむしろ、核となるサービスを改善することだと指摘する。

また、フェイスブックが最も不評を買ったことの1つ――投資家に何十億ドルもの損失を与えたIPO――は、結果的には大いに功を奏するかもしれない。フェイスブックはIPOで可能な限りの資金を調達することにすでに成功しているからだ。

モバイルサービス事業に携わる新興企業アーバン・エアシップのジョー・ベニナト氏は、現在90億ドルの手元資産を保有しているフェイスブックは、インスタグラムを買収したように、脅威となる急成長企業を買収できると指摘。「何か問題となりそうな事態が訪れても、彼らにはいざというときに頼れる大きな資産がある」と話した。

(原文執筆:Alexei Oreskovic 翻訳:伊藤典子 編集:宮井伸明)

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