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来週の円は「独り相撲」のツケ払い、ファンド損失の流れ弾に注意

[東京 7日 ロイター] - 来週の外為市場では、アベノミクスに対する一方的な期待感で上昇してきたドル/円の「独り相撲」の反動としての調整過程が続きそうだ。米長期金利の上昇や株安で損失を被った海外ファンドによる手じまいが、為替相場に影響する可能性もある。

6月7日、来週の外為市場では、アベノミクスに対する一方的な期待感で上昇してきたドル/円の「独り相撲」の反動としての調整過程が続きそうだ。写真は2月、都内で撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano)

一方、弱気な見方が支配的なユーロに向かっては、マネー流入が起きており、センチメントと実需のせめぎ合いとなりそうだ。

予想レンジはドル/円が93―100円、ユーロ/ドルが1.30―1.35ドル。

ドル/円について「1カ月かけて上がってきたものが、1週間で解消された。次の1週間でもう一度ドルロングを積み上げようということにはならないだろう」とSMBC日興証券、金融経済調査部・為替ストラテジストの野地慎氏は予想する。

<円の独り相撲とファンドの損失>

ドルは7日、95.55円まで下落し、日銀が「量的・質的金融緩和」に踏み切った4月4日以来の安値を付けた。

最近のドル/円急落は、アベノミクスに対する一方的な期待感から、投機筋が積み上げたドルロング/円ショートの投げ(巻き戻し)が主因であり、いわば「円の独り相撲」のツケ払いと言える。

「あまりにも一方的な期待感からドル/円を買ってきた人たちが、上がらないから投げるという現象はこの先もまだ続きそうだ」(国内証券)。今回は同様の期待感から上がっていた株価の調整が先に来て、ドル/円の調整が遅れてきた格好だ。

一方、米金利の上昇を受けて、大手ヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)の損失も報じられており、損失に伴う「流れ弾」(他市場でのポジション整理)にも注意が必要だという。

「アメリカが出口から出るのは半永久的に困難だと思うが、少なくともその思惑は長期金利を押し上げている。米債や日本株での損切りが、例えばドル/円のポジション整理につながることもある」(前出の機関投資家)。

英ヘッジファンド大手マン・グループの基幹ファンド、AHLは、世界の債券市場で保有するロング・ポジションでの損失により、運用資産が5月に10%以上減少した。AHLは日経平均にリンクした先物でもロング・ポジション保有していたとされる。ファイナンシャル・タイムズが5日の電子版で伝えた。

大手CTAのアスペクト・キャピタルの運用資産は5月に6.4%減少した。

<ユーロは「買う理由がない」のに底堅い>

ユーロについては、「買う理由が見当たらない」(外銀)との意見に代表される弱気の見方が支配的だ。しかし一方で、実際のグローバルな資金フローはむしろユーロ圏に流入している。

「理屈をこねて、ユーロを売っても、売っても、なかなか思うように下がらないというのがトレーダーの実感」(別の外銀)だという。

ロイターが5日に公表した月例為替予測調査によると、ユーロ圏経済の弱気な見通しを背景に、ユーロは向こう1年で再び下げに向かうとの予想が大勢を占めた。

アナリスト60人の予想中央値は、1カ月後は足元と同じ1.30ドル前後だが、3カ月後は1.28ドル前後、半年後は1.26ドル、1年後は1.24ドルと徐々に軟化していく見込みだ。3カ月後にユーロ/ドルが1.30ドルを上回ると予想したのは60人のうち9人だけ。

一方、欧州中央銀行(ECB)によると、ユーロ圏の3月の経常収支は季節調整前で248億ユーロの黒字。2月の115億ユーロの黒字(改定値)から黒字幅が拡大した。資本収支も2月、3月とそれぞれ16億ユーロ、13億ユーロの流入超になっている。

「ユーロの経常黒字は急激に増えている。ただ、投機筋やアナリストの頭はユーロに対して弱気な見方で固まっており、これから頭を切り替えて、ロングに行こうという話は早々ならないだろう」(証券会社)という。

<日銀決定会合>

日銀は10、11日に開く金融政策決定会合で、上下に大きな変動を繰り返す金融・資本市場の動向とその影響、対応策などについて幅広く議論を進めると予想される。中でも長期金利の急速な上昇は緩和効果を削ぐ可能性があり、その対応策として資金供給オペの期間を2年以上に延長することを検討するとみられている。

「日銀の長期金利上昇抑制策の如何によって、あるいは参院選後の安倍政権の成長戦略によっては、95円割れの可能性も排除すべきではない」(野地氏)という。

<雇用統計>

ロイター調査によると、5月の米雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比17万人増と、4月の16万5000人増をわずかに上回る程度にとどまる見通しだ。米経済は閉塞状況を抜け出せず、米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ規模が数カ月中に縮小するとの思惑を後退させる可能性があるとみられている。

「数字が悪ければ、さらに(ドル/円)が売られ、予想通りであってもドル/円の上値は重いだろう。予想を上回れば、下げ止まって投機筋が再びロングの構築に動く可能性もある」とFXプライム・取締役の上田真理人氏は言う。

(森 佳子)

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