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焦点:英中銀次期総裁待ち望む声、銀行業界は良好な関係を期待

[ロンドン/オタワ 26日 ロイター] - ロンドンの金融街の多くにとって、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー次期総裁は、まるで同僚の1人であるかのようだ。

6月26日、ロンドンの金融街の多くにとって、イングランド銀行のカーニー次期総裁は、まるで同僚の1人であるかのようだ。写真は2008年、ロンドンで撮影(2013年 ロイター/Luke MacGregor)

金融に関するカーニー氏の素質は、そもそもゴールドマン・サックスでの13年間の勤務経験を通じて培われたもので、これは経済学者である前任のキング総裁とは対照的。銀行業界は今、7月1日に就任する次期総裁と良好な関係を築くことを期待している。

イングランド銀のギーブ元副総裁は、キング総裁は銀行業界から敵対的とみられており、時に軽蔑の色も隠さなかったが、それが変わると述べた。カーニー氏は銀行業界で使われるような言葉で語りかけるとの見方を示した。

ただし、カーニー次期総裁が物腰柔らかというわけではなく、短気で、苛立たせることを恐れていない。また、カナダ銀行(中央銀行)の総裁、あるいは金融安定理事会(FSB)の議長として、銀行改革の取り組みを後退させるような要求をほとんど許容しなかった。

英国の銀行セクターは金融危機から5年以上経った今でも依然として脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。

一部が大幅に規模を縮小したにもかかわらず、最大手行のバランスシートの規模を合わせると、経済の規模の5倍に相当する。銀行がリスクに慎重な姿勢を維持し、企業が需要の弱さを理由に借り入れに消極的になる中、経済の生命線とも言える企業向け貸し出しは依然減少している。

カーニー次期総裁は、カナダでは達成できなかった金融政策と財政政策の融合を英国で実施するチャンスがある。中銀が金融リスクの新たな監督機関で主導的な役割を担えると示唆し、2009年に権限を拡大しようとした。他の規制当局が懸念を示し、財務省が現状維持を支持した。

それでもなお、カナダの銀行業界ではカーニー氏が敏感な問題を取り上げることをためらわなかったと指摘する。

<イングランド銀に新たな権限>

ちょうどイングランド銀の銀行セクターに対する権限が拡大する時に、カーニー氏が総裁に就任する。信用危機を食い止められなかったこれまでの規制の枠組みを解体するに当たり、オズボーン財務相はカーニー氏を次期総裁に指名した昨年11月、銀行業界でのカーニー氏の経験を強調していた。

イングランド銀のロマックス元副総裁は「オズボーン財務相はカーニー氏に全てを賭けている。これでカーニー氏はかなり強い立場に立つことになる」と述べた。

大胆な発想に関して定評があるカーニー氏でも、金融政策を抜本的に変更するには苦戦するかもしれない。

低金利を維持する期間を明示するよう主張するとみられ、これは企業や家計の支出を拡大するかもしれないが、政策当局者の一部はそうしたコミットメントを示すことを懸念している。

カーニー氏は米連邦準備理事会(FRB)や日銀による量的緩和策が日米にとっては適切だったと支持を表明した。だが、イングランド銀で資産買い取りプログラムを再開しようとすれば、金融政策委員会(MPC)内の反対論を抑える必要がある。

ここ2年の停滞から英国経済が抜け出す兆しがあり、金融政策の改革がそれほど急務ではなくなってきたという状況もある。

それでもなお、エコノミストの間では外部者がイングランド銀の流れを変えられるとの期待がある。

銀行業界ではイングランド銀が特に小規模企業への融資を促す一方で、資本の増強を求めるという混乱を誘うメッセージを送っていることに不満の声が挙がっている。

資本増強が求められれば、貸し出しに消極的にならざるを得ないとの銀行業界の主張に対して、キング総裁は反論。6月19日の在任中最後の講演で、「実際はその逆。貸し出しを抑制するのは不十分な資本だ」と指摘した。

<銀行業界は新たなアプローチ期待>

英国ではキング総裁と銀行の間のあつれきはお決まりとなっていた。2003年にイングランド銀の総裁に就任してすぐに、銀行業界幹部との月次の昼食会を廃止。関係がより希薄になることが明らかになった。

金融危機が表面化し、キング総裁と銀行業界の関係は緊迫したものとなった。銀行が取ったリスクを批判したキング総裁は、彼らを救済するという倫理の欠如を嫌がった。

銀行支援に公的資金が注入されたことを不満とする人々はこうしたセンチメントを共有しているが、ロンドンの金融街では新たなアプローチを求める声が多くある。

英国銀行協会の幹部は、銀行が将来的な損失を想定するのにより柔軟なアプローチを望んでおり、資本増強の要件を決める場合は一段の対話を、また将来的にはどのような資本が新たに要求されるのかがはっきりとしてくることを望んでいると指摘している。

(William Schomberg記者;翻訳 青山敦子;編集 内田慎一)

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