[サンフランシスコ 23日 ロイター] - 米アップルAAPL.Oの第3・四半期(2013年4─6月)は、利益が減少した。ただ、スマートフォン(スマホ)「iPhone」の販売が米国や日本で伸び、アナリスト予想を大幅上回る強い数字となったため、株価は上昇した。
4─6月利益は前年比22%減少。前年同期は42%超だった粗利益率は37%を下回った。 iPhoneの販売台数は3120万台。4─6月期としては過去最高で、アナリスト予想の2600万台、タブレット端末「iPad」の1460万台を大幅に上回った。 オッペンハイマー最高財務責任者(CFO)はインタビューで、iPhone販売が米国で前年比51%増、日本は66%増加したことを明らかにした。 スマホ市場の成熟化に伴い競争が厳しくなり、iPhone需要の減退が懸念されていただけに、4─6月の販売好調は好感された。 23日の通常取引を1.7%安で終えていたアップル株は、決算を受け時間外で5%上昇した。
クロス・リサーチのアナリスト、シャノン・クロス氏は「iPhone販売数は、スマホ需要を懸念していた投資家に一定の安心材料となるだろう。株価が上昇しているのはそのためだ」と述べた。
4─6月利益は69億ドル、1株あたり7.47ドル。前年同期は88億ドル、1株あたり9.32ドルだった。
売上高は353億ドル。前年同期は約350億ドルだった。 トムソン・ロイター・エスティメーツがまとめたアナリストの予想平均は、1株利益(EPS)が7.32ドル、売上高が350億2000万ドルだった。
<鍵はやはり新製品投入>
「iTunes」や「iPod」、「iPhone」、「iPad」で3大消費者エレクトロニクス市場を変えたアップルだが、昨秋の「iPadミニ」以降、主力製品の更新はない。投資家の間では、アップルが新しい物を生み出す技術革新の精神を失ってしまったのではないか、と懸念されている。
アップルは今第4・四半期(7─9月)売上高を340億─370億ドルと予想。アナリストの平均予想(370億4000万ドル)を若干下回る水準。 利益率は36─37%と予想した。4─6月の粗利益率は36.9%。前年同期の42.8%から大幅に低下した。iPhoneが新モデル「iPhone5」だけでなく、価格が相対的に安い旧機種も売れたことが背景。 アップル株を保有するデスティネーション・ウェルスのマイケル・ヨシカミ最高経営責任者(CEO)は、新製品がない中で健闘したと評価する一方、今後、新製品を生み出すことが鍵との見方を示した。
*内容を追加します。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」