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焦点:コアコアCPIもプラス定着へ、デフレ脱却判断には賃金上昇が必要

[東京 26日 ロイター] - 2012年4月以来、1年2か月ぶりに6月コア消費者物価(生鮮食品を除くベース)がプラス転換し、政府が「デフレ脱却」の判断基準としているコアコアCPI(電気代やガソリン代など円安の影響を除いた指数)も年内にはプラス転換するとの見方が広がっている。

7月26日、1年2か月ぶりに6月コア消費者物価がプラス転換し、政府が「デフレ脱却」の判断基準としているコアコアCPIも年内にはプラス転換するとの見方が広がっている。写真は都内で今月25日撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

ただデフレ脱却の判断を明確にするためには、賃金上昇の広がりが必要。その可能性は来年の春闘の結果にかかっており、民間エコノミストの間では、デフレ脱却宣言は早くても15年に入ってからになる、との予想が多い。

<景気回復と期待インフレ率上昇で、コアコアCPIも上昇へ>

6月コアCPIのプラス転換は主として円安によるエネルギー価格の上昇が大きい。内閣府がデフレ判断の基準として重視しているのは、コア指数からさらに電気代やエネルギー関連価格を除いたコアコアCPIだ。6月は前年比0.4%の下落で、5月と同じ下落幅となったが、これまで0.8─1.0%の下落が続いてきた推移を考えると、明らかな上昇傾向を示した。

「景気回復による需給ギャップ縮小と、耐久財の下落幅縮小が寄与している。耐久財では長らくテレビの価格下落が影響してきたが、テレビ市場のマーケットプレーヤーが淘汰され、過当競争が緩和しつつあることが要因」と野村証券・木下智夫チーフエコノミストはみる。加えて「円安を価格転嫁する動きも増え始め、インフレ期待の上昇が芽生え始めている」(伊藤忠経済研究所・主任研究員・丸山義正氏)との指摘もある。

コアコアCPIは2009年3月以来、マイナスが続いているが、民間エコノミストの間では、早ければ9月ごろからプラスに転じ、10─12月期には安定した上昇基調が実現するとの見通しが大勢だ。年度後半に向けて、消費増税前の駆け込み需要が一段と増え、需給ギャップが改善するためだ。

消費増税が来年4月に予定通りに実施されたとしても、「いったん上昇が止まるかもしれないが、下落に戻ることはないだろう」(伊藤忠商事・丸山義正氏)との予想も多い。円安による輸出数量効果が出るにはタイムラグがあり、その間に景気回復が続いて設備投資も増加基調となる、などの状況が想定される。

<賃上げなき物価上昇、消費が冷え込む懸念>

しかし、デフレ脱却に向けての期待が、予想通りに実現するかどうか、現時点ではなお不透明だ。物価上昇と同程度に賃金も増える必要があり、政府・日銀もその点を重視している。

物価が上昇しても賃上げが伴わなければ、家計の実質所得が減少して個人消費が冷え込み、景気にはマイナスのインパクトを与える。特に来年4月には、消費税率が現行の5%から8%に引き上げられ、物価に上乗せされることになる。日銀では、消費増税に伴うコアCPIへの影響を2%程度とみており、少なくともこれを上回る賃上げが必要になる計算だ。2015年10月には、さらに2%の消費増税が控える。

厚生労働省が発表している毎月勤労統計をみると、5月確報値で賃金のベースアップが反映される「所定内給与」は前年比0.4%減。パートタイム労働者の増加による押し下げ圧力を割り引いても、現段階で賃金が明確に上昇する兆しはみられない。

6月CPIを受け、菅義偉官房長官は26日、賃金上昇を伴わない物価上昇について、「十分、注意しながら対応していきたい」と発言した。政府は今秋にも経済界、労働組合との3者協議の場を設ける意向で、賃上げを含めた議論が行われれる可能性がある。来年の春闘に向け、賃上げをめぐり3者協議の場で前向きの議論ができるかどうかが、デフレ脱却への道筋をつけるカギともいえる。

<デフレ脱却宣言は2015年ごろに>

甘利明経済再生担当相は同日の閣議後会見で、コアCPIがプラス転換したことに触れ、「2%物価目標の実現へスタートを切った」と指摘した。物価上昇の継続は政府が来春の消費増税実施を最終判断するうえで、重要な検討項目となる。

「コアコアのベースで前年比プラスに転じた場合、予定どおりの消費税増税を最終決定する材料となる可能性が高い。また、日銀も、自らのインフレ見通しへの自信を深め、政策の現状維持姿勢を強めることになるとみられる」とクレディスイス証券チーフエコノミスト・白川浩道氏と指摘する。

ただ、08年当時に政府がデフレ脱却宣言を検討した際、GDPギャップ、コアコアCPI、GDPデフレータは判断基準に達していたが、宣言は見送られた。賃金上昇に難があったため、と当時の関係者は明かす。今回、政府が「相当慎重に判断する」(政府高官)としているのも、そのためだ。

民間研究機関などでは、来年春闘で賃上げの動きが広がったとしても、デフレ脱却が確実と確認されるのは2015年になるとの見方が多い。「最終的にアベノミクスの勝利宣言となるデフレ脱却宣言は本当の経済構造転換を成し遂げた後」(野村証券・木下氏)との指摘もある。

(ロイターニュース 中川泉 伊藤純夫 編集 北松克朗)

*字句を修正して再送します。

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