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物価上昇に継続の兆し、期待インフレ率重視に手応え

[東京 26日 ロイター] - 6月全国消費者物価指数(生鮮食品除く、コア)が1年2カ月ぶりに前年比プラスに転換し、日銀は期待インフレ率が上がり始め、物価上昇の勢いが継続する兆しが見え始めたと手応えを感じている。

7月26日、6月全国消費者物価指数(生鮮食品除く、コア)が1年2カ月ぶりに前年比プラスに転換し、日銀は期待インフレ率が上がり始め、物価上昇の勢いが継続する兆しが見え始めたと手応えを感じている。都内で撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

ただ、デフレになじんだ人々の物価観が本格的に変化し、多方面で価格転嫁が円滑に進むのか、疑問視する声があるのも事実。期待という数値で捉えることが難しい要素をテコに、物価上昇を実現していくという日銀のチャレンジが問われるのは、これからだろう。

<コアコアCPIもマイナス幅縮小の傾向>

日銀内では、6月コアCPIが前年比0.4%上昇したことについて、表向きは「想定通り」との声が多く聞かれるが、長く続いたゼロ近傍から脱却できたことに安堵する声も漏れている。

確かに物価上昇のウエートを見ると、エネルギー関連や輸入食品など寄与度が高いが、内閣府が公表した6月のコアコアCPI(総合から 生鮮食品、石油製品およびその他特殊要因を除く)は、連鎖基準で前年比マイナス0.4 %と5月と同じ下落幅にとどまり、今年1月の同マイナス0.8%と比較すると、下げ止まり方向への兆しも見える。

テレビのマイナス幅が縮小したほか、ノートパソコンが2カ月連続でプラスとなるなど、長年デフレをけん引してきた耐久消費財の価格に下げ止まりの兆しがみられるためだ。生鮮食品を除く食料や宿泊料やなども下げ幅が縮小している。

<期待インフレ率の上昇、現実味あると判断する日銀>

マクロ的には賃金上昇の行方がカギを握るとの声が、市場関係者ばかりでなく、政府部内からも広がっている。日銀でも黒田東彦総裁が今後の所定内賃金の動向について「春闘のサイクルがあり、すぐに上がるのは難しい」(7月11日の会見)と発言するなど、消費増税が重なる来年の春闘に注目している。

ただ、日銀の異次元緩和では、単に賃金の上昇にとどまらず、全く新しい金融政策のレジームの下で、マネタリーベースを大胆に増加させれば、インフレ期待が上昇し、そのことで経済全体の循環に変化を与え、結果として物価が上がるという見方を採用している。

今回の物価上昇は、そのプロセスの始まりであり、期待インフレ率の上昇とともに物価上昇が継続するとの期待感を強めている。

<フィリップス曲線の押し上げで、需給ギャップの解消は可能か>

白川方明前総裁の日銀では、需給ギャップを短期間で埋めて、2年間で2%の物価上昇を達成するのは難しいとの声が主流だった。

しかし、現在は期待インフレ率の上昇によって、失業率や経済成長率と物価の相関を示すフィリップス曲線の傾きをスティープ化させ、需給ギャップをゼロにすることが可能であり、その可能性は高まっているとの立場だ。

これを現実の経済現象に当てはめると、消費者物価指数のプラス転換を契機に、価格転嫁の動きが円滑に進み、人々に染みついた物価観が上がらないという見通しが修正されるということになる。

ただ、その見方に懐疑的な声もある。ある日銀OBは期待インフレ率のシフトが成功するかどうか、「今の時点では両方の可能性がある」と説明する。

また、政府関係者の一部には、2%の物価上昇は無理でも1%程度でも上がれば、政策目標は達成されたのと同じだとの声もある。

<改善する短観の販売価格判断>

2012年も2月から4月にコアCPIがプラス圏で推移したが、5月にマイナス圏に沈んでしまった。テレビの調査品目入れ替えなど特殊な要因もあったが、金融緩和を背景とした円安進行やガソリン価格上昇など、足元の経済状況と共通する要因も多かっただけに、同じ轍(てつ)を踏むリスクを懸念する声が、市場の一部にある。

だが、今年は6月日銀短観で大企業製造業の販売価格判断(上昇から下落を引いたもの)が、マイナス4と昨年6月のマイナス17から大幅に改善した。日銀は人々の物価観に変化の兆しが出つつあるとみる。

ロイターニュース 竹本 能文 編集;田巻 一彦

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