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アングル:米GDP統計の基準改定、米国経済に光明か

[ワシントン 28日 ロイター] - 米商務省は31日発表の国内総生産(GDP)統計で測定基準を改定する。これまでGDP統計に反映されていなかった研究開発費を投資に算入することが柱で、基準改定に伴い米国のGDPは3%程度膨らむことになる。

7月28日、米商務省は31日発表の国内総生産(GDP)統計で測定基準を改定する。写真は2010年7月、ニューヨークの店舗で撮影(2013年 ロイター/Shannon Stapleton)

米国では、民間の研究開発費が投資に占める割合が過去50年で倍増しているが、研究開発費はこれまでGDP統計に反映されていなかった。

例えば、がん治療薬の生産が増えれば、経済成長の押し上げ要因となるが、治療薬の研究開発費が増えても、経済成長には影響しなかった。

基準改定に伴い、研究開発費を投資に算入することで、2010年のGDPは3000億ドル増えることなる。

商務省経済分析局(BEA)のスティーブン・ランデフェルド局長はインタビューで「(研究開発費が)経済に占める比率は増える一方だ。統計に組み入れる必要がある」と語った。

今回の基準改定では、映画や書籍といった芸術作品の制作費用も投資に算入する。

一見すると、政府が景気押し上げのために「魔法の杖」を使ったような印象を受けるが、この基準は、各国の統計局が2008年に国連で合意したもので、今後、米国以外でも導入される。

欧州連合(EU)は来年から研究開発費を投資に算入する予定だ。

情報技術(IT)の進歩により、知識産業の研究開発費は増大しており、一部の著名研究者からは、今回の基準改定でも、知識経済の統計把握はまだ不十分との声が出ている。

<現在も試行錯誤中>

例えば、メリーランド大学のチャールズ・ハルテン氏とコンファレンス・ボードのキャロル・コラド氏は、ブランド構築・社員教育・事業効率化に向けた支出も投資に含めた試算を行っている。

イノベーションへの投資を定量化しようという試みで、ハルテン氏によると、暫定的な試算では、経済規模が1兆ドル増えるという。

もっとも、この場合でも、年間の経済成長率は0.2─0.3ポイントしか増えないが、米国の民間固定資産投資のストックが、過去50年間、総じて伸び悩んでいるという傾向への懸念が和らぐ可能性がある。

両氏によると、知識経済への投資は確実に増加し、有形資産への投資の減少を相殺しているとみられ、「米国経済の未来は明るい」(ハルテン氏)という。

イノベーションを重視する姿勢は、職種の変化にも表れている。

「データアナリスト」という職業はそれほど耳慣れない言葉ではなくなった。

企業では、管理職の占める割合が1960年代後半の約10%から、16%に上昇している。管理職が業務効率化のアイデアを生み出していることが背景とみられる。

BEAのランデフェルド局長は、こうした知識経済の実態を今後さらに統計に反映させていきたいとしているが、研究開発費の信頼できるデータを蓄積するのに数十年の歳月を要したことも指摘した。

前回、GDP統計の測定基準が大きく改定されたのは1999年。このときは、ソフトウエアへの支出を投資に算入した。

EBAは、将来的には研究開発費の対象をサイエンス、エンジニアリング以外に拡大し、製品デザインの開発費なども投資に含める可能性がある。

この場合、例えば、アップルが「iPhone」のデザインを美しくするための研究開発費もGDP統計に反映されることになる。

また、企業が支払うコンサルタント料も、収益改善が目的であることが多いため、将来的に投資に算入される可能性がある。

ただ、どちらも信頼できるデータは蓄積されておらず、「まだかすかな光が見える程度」(ランデフェルド局長)という。

(Jason Lange記者;翻訳 深滝壱哉 編集 吉瀬邦彦)

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