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アングル:株安・円高、消費増税慎重論が誘発との見方浮上

[東京 30日 ロイター] - 安倍晋三首相の周辺から高まっている来春の消費増税に対する慎重論に対し、株安や円高を誘発しているとの見方が、一部の市場関係者から浮上している。

7月30日、安倍首相の周辺から高まっている来春の消費増税に対する慎重論に対し、株安や円高を誘発しているとの見方が、一部の市場関係者から浮上している。写真は6月、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

国際公約とされる財政再建が遅れるとみなされれば、海外勢が日本売りの材料とするためだ。首相周辺では消費税の段階的引き上げは株高要因とみる声もあり、今後の市場動向が消費増税をめぐる議論に影響する可能性がある。

<市場で注目された4つのケースの検証>

日経平均.N225は29日までの4営業日で1100円と大幅に下落し、ほぼ1カ月ぶりの安値を付けた。米金融緩和の縮小懸念や、中国経済減速による企業収益悪化懸どに加え、日本の財政再建の遅れも一部の海外勢の間で材料視されているようだ。

安倍首相が、既定方針通りの税率引き上げと見送り、1%ずつの段階的引き上げなど4つのシナリオについて、経済的な影響を検証するよう関係部局に指示したとロイターや複数の国内メディアが報道。

<消費増税に消極的との声、リスクオフ的円買いも>

市場の一部では、仮に段階的引き上げは選択された場合は「政治状況次第で5%増税できる保証がなく実質先送り」(外資系証券の関係者)との声も出て、この問題の注目度が一気に上がっていた。

29日の市場では、円高・株安は中国経済への懸念から、中国依存度の高い日本経済に対するマイナスのイメージが広がって、海外勢の一部が円買い・日本株売りを仕掛けたとの見方が出ていた。

また、外為市場の一部では、消費増税に安倍首相は消極的ではないかとの思惑も出て、それを材料にリスクオフ的に円を買っていた海外短期筋もいたという。

<首相ブレーン、増税のマイナス効果を注視>

では、どうして4つのシナリオについて検証するという動きになったのか──。そこには、安倍首相の経済ブレーンである浜田宏一、本田悦朗両内閣官房参与の大きな存在があるようだ。

関係筋によると、両氏は7月に入り、消費増税が景気に水を差す可能性があるなら、毎年1%ずつの増税を実施するなどの段階的増税案を安倍首相に提案。首相も複数の増税案について、経済への影響を検証するよう指示した。

来年春はプラス1%程度の物価上昇率が展望できるにもかかわらず、3%の増税を決行すれば、景気・物価を下押しし政権の至上命題であるデフレ脱却に水を差す、と両氏は懸念する。

このため9月発表の4-6月の国内総生産(GDP)2次速報(改定値)などを精査し、来春3%増税がデフレ脱却に悪影響を与えると判断すれば、安倍首相が毎年1%ずつの増税案などに軍配を上げる可能性もゼロではなさそうだ。首相周辺の関係者には、株式市場もその方が好感するとの読みがあるようだ。

<懸念される海外勢の国債・株売り>

これに対して、第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストは「消費税の増税計画を見直すと財政再建計画は大きく狂う。日本の長期金利が早晩、上昇していくという予想を強め、日米金利差の縮小を意識させる」と指摘。「金利差が縮まるという予想は、円高ドル安要因になる。これは同時に株安要因」とし、「この期に及んで、安倍首相が消費税率引き上げの先送りを決定するのならば、それは円高と株安を誘発する危険な判断」と懸念する。

元住友銀行常務を務めたAIGジャパン・ホールディングスの近藤章副会長は、増税が正式に先延ばしされれば株安要因とみる。「海外投資家の、財政再建が遅れることによる日本の将来への悲観から日本株が売られる可能性がある。国債は現物・先物ともに海外勢はあまり保有していなため、日本をショートするなら株となる可能性がある」という。

ただ、こうした見方とは別に、1%ずつの段階的な増税案なら、市場が大幅に反応することはないだろうと予想する声も、市場関係者の中では少なくない。実際、29日の市場で長期金利は0.800%と小幅上昇にとどまった。

明確な先送りではなく、1%ずつの引き上げ案を決めた場合の市場動向は、見方が交錯しているのが実情のようだ。

<市場動向、増税判断に影響する可能性>

安倍政権は支持率のバロメーターとして株価など市場動向をことのほか重視しているとされる。菅義偉官房長官は28日のテレビ番組で「無制限金融緩和を実施しても長期金利は上がらなかった」と述べ、増税判断による長期金利の反応を熟慮している様子をうかがわせた。

増税判断が市場動向に大きく影響しそうなら、増税判断の結論自体が影響を受けることになる可能性がある。その意味でこれからしばらくの間の株や為替、長期金利の動きは、日本のマクロ政策の先行きを占う上で、重要性が急速に高まりそうだ。

ロイターニュース 竹本 能文 編集;田巻 一彦)

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