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国共済年金、株式・債券投資比率の変更検討=関係筋

8月6日、国家公務員共済年金(国共済年金=KKR)が、運用ポートフォリオのアロケーションを変更し、株式や債券などリスク資産の比率を高める方向で検討していることが明らかに。写真は都内で6月撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

[東京 6日 ロイター] - 国家公務員共済年金(国共済年金=KKR)が運用ポートフォリオのアロケーションを変更し、株式や債券などリスク資産の比率を高める方向で検討していることがわかった。複数の関係筋によると、今秋をめどに変更案の詳細を取りまとめ、正式発表する見通し。

今年6月には、世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式投資の割合を増やす決定をしているが、KKRによる投資方針の見直しはこれに続く動き。運用資産の大半を日本国債に投資している公的・準公的年金にリスク性資産の比率拡大を促す可能性もある。 7.5兆円の運用資産は「基本ポートフォリオ」と呼ばれるモデルに沿って運用されており、現行の基本ポートは80.0%が国内債券。

一方で、国内株式の割合は5.0%にとどまっている。この他に外国株式が5.0%、短期資産4.0%、不動産2.0%、貸付金4.0%の割合で、外国債券はゼロ。

基本ポートフォリオは2010年4月以降、変更されたことがない。 2013年3月末時点の資産構成割合は、国内債券が78.8%、国内株式6.8%、外国債券1.2%、外国株式5.3%、短期資産2.7%などとなっている。 関係筋はロイターに対し、今回の検討では「現在の国内債のウエートが高いポートフォリオは変更される方向」と述べた上で、「特に(6月の)GPIFの投資割合の変更を踏まえ、もっとリスクを取れるように(KKRも)戦略を変更するだろう」と語った。 KKR資金運用部によると、同基金は原則として毎年基本ポートフォリオを見直している。関係筋によると、今回の検討では、昨年末以来「アベノミクス」がもたらした株式相場の上昇や円安トレンドの長期化なども踏まえて議論する。

現在、KKRは年金コンサルタントと共同で基本ポートフォリオの見直しについて検証作業を行っており、最終的な変更は4人の有識者で構成される運用員会の承認を経て決定される予定。

日本の株式相場は衆院解散が決まった昨年11月中旬以降、脱デフレの政策や成長戦略への期待から約65%上昇し、円は対ドルで約20%円安に振れている。

KKR資金運用部は今回の検証の詳細に関するロイターの取材に対し、マーケットに影響のある内容になるとして明言を避けた。  KKRは、国家公務員など124万3000人の受給者のための公的年金制度の1つで、年金積立金の規模は7兆5627億円(13年3月末)。その全額を国家公務員共済組合連合会が運用している。 もう1つの公的年金で世界最大の120兆円の運用資産を抱えるGPIFは今年6月、2014年度までの運用割合の変更を決定し、国内債券の割合を67%から60%に減らす一方、国内株式を11%から12%に、外国債券を8%から11%に、外国株式を9%から12%に、それぞれ高めた。2001年にGPIFが設置されて以来、最も大胆な見直しとなった。 政府は、KKRやGPIFなど公的・準公的年金の資産構成が国債に大きく依存している現状を見直すため、長期・安定的なリターンを確保する方針を検討する有識者会議(座長=伊藤隆敏東大大学院教授)を設置。同委員会は今秋をメドに、株式や外貨資産などリスク性資産の割合を拡大するよう求める提言を取りまとめる方針だ。

Reporting By 程 近文 編集:北松 克朗

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