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焦点:米金融株、S&P500トップセクターに返り咲きも

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 銀行危機が米国の金融株に与えた打撃は、どれだけ伝えても誇張にはならない。S&P総合500種の金融株指数.SPSYは、ピークだった2007年1月にはネットの時価総額が2兆9000億ドルと、業種別で第2位の規模だったハイテク株.SPLRCTより約30%も大きかった。そこから住宅バブルが崩壊し、S&P500種指数が58%下落したのに対して金融株は83%も下がって、2兆4000億ドルが失われた。

8月11日、今や金融株は、S&P500種で最大ウエートのセクターとして返り咲き目前だ。写真はニューヨーク証券取引所で5月撮影(2013年 ロイター/Brendan McDermid)

金融株の底値だった09年3月でみると、時価総額は5100億ドルにすぎず、これは危機前のJPモルガン・チェースJPM.NとシティグループC.Nの2社の時価総額合計とほぼ同じ程度だった。

こうした急落の後だけに、その回復ぶりはいやが上にも目覚ましくなる。今や金融株は、S&P500種で最大ウエートのセクターとして返り咲き目前だ。現時点ではS&Pダウ・ジョーンズ指数で示される金融株の占めるウエートは16.6%と、トップのハイテク株との差は1%ポイント弱にまで迫っている。今年初めはその差が約3.5%ポイントあった。

ラファーティ・キャピタル・マーケッツ(フロリダ州タンパ)の銀行アナリスト、ディック・ボーブ氏は「銀行に対する心理は信じられないほど悪化していて、金融株の専門家は非常に弱気になっていたので、彼らは銀行業界が徐々に持ち直しているという事実を完全に見落としていた。(しかし)ここ数週間で彼らは、『銀行が復活した』と口をそろえている」と指摘した。

もし金融株が、ハイテク株を抜いてS&P500種の10セクターで最大ウエートの地位に就けば、08年5月以来となる。金融株のウエートは09年3月時点では8.9%と、貯蓄貸付機関(S&L)危機が深刻化していた1991年以来の小ささだった。

株価回復の立役者はほとんどがJPモルガンやシティ、ウェルズ・ファーゴWFC.N、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)BAC.Nといった大手銀行で、それぞれ少なくとも年初来で24%は値上がりしている。ウェルズ・ファーゴの場合は7月終盤に過去最高値を更新し、年初来の上昇率は約27%と2000年以来の好成績だ。

<金融株に一段の上昇余地>

ロイター・スターマインの分析では、金融株は一段と上昇する余地があるかもしれない。

金融株全体ではスターマインが算出した「イントリンシック・バリュー(本質的価値)」を約76%下回っている。シティ、バンカメ、AIGAIG.Nは市場の90%を超える銘柄に比べて割安で、シティのイントリンシック・バリューは88.57ドルと9日終値(51.32ドル)より70%高い。バンカメは、9日終値の14.45ドルに対してイントリンシック・バリューは25.62ドルとなっている。

この1週間では金融株は1.9%下落し、S&P500種の1.1%下落よりも落ち込んだ。それでも過去5年のうち4年で株価は2桁の上昇を示し、四半期ベースでも5期連続の上昇に向かっている。

伝統的に金融株の堅調推移は、経済の先行きに期待が持てる兆しとみなされる。貸し出しの拡大は消費や雇用の増加を促すからだ。

2007年いっぱいは金融株の価格は市場全般を上回っていたが、景気後退に陥った後は失速し、消費関連やエネルギーといった他のセクターの成績が良くなった。景気回復局面の序盤でも金融株のパフォーマンスが低調だったのは、規制強化の動きだけでなく、資金需要の戻りが鈍かったことが反映されていた。

<ハイテク株が最大ウエート維持との見方も>

一部では、ハイテクがS&P500種の最大ウエートーの座を守り通すはずだとの見方が出ている。ワサッチ・ラージ・キャップ・バリュー・ファンド(インディアナ州サウスベンド)のポートフォリオマネジャー、ラルフ・シャイブ氏は「わたしの見解では、ハイテクの方が金融よりも基調的な価値を取り戻しつつある。ハイテクはいつも、価値や生産性を増やすとともに、無から新たな価値を創造している」と強調した。

ゴールドマン・サックスは今月の調査リポートで、価値と成長の観点では金融株はS&P500種のセクターでは最弱、ハイテク株は最強と区分した。

一方で金融株の時価総額が歴史的に持続不可能だと証明されている水準にまで膨らまない限りは、金融株のハイテク株に対する優位は経済にとって健全な状態であり得るとの主張も聞かれる。

例えばS&Pダウ・ジョーンズ指数指数ベースでは、2000年のハイテクバブル崩壊直前にはS&P500種に占めるハイテク株のウエートは34.5%とかつてないほど高まった。

ING・USインベストメント・マネジメント(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、ダグ・コート氏は「今は金融株とハイテク株のウエートがほど同等である以上、これは市場が非常にバランスが取れている状況にあることを示している。これらは伝統的に2大セクターとして存在してきた」と語った。

(Alison Griswold記者)

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