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不透明感濃くしたGDP、消費増税の決定打とならず市場の方向感乏しい

[東京 12日 ロイター] - 日本の4─6月期国内総生産(GDP)1次速報は、市場の不透明感を濃くする結果となった。景気回復は確かめられたものの事前予想値から大きく下振れたことで、設備投資などに対する懸念を強めたほか、消費増税の行方も一段と混迷度が増した。

8月12日、日本の4─6月期GDP1次速報は、市場の不透明感を濃くする結果となった。写真は2009年11月、都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

長期投資家は不透明感の強まりを嫌気し様子見。短期筋中心に株安・円高への反応が先行したが、しばらく方向感に乏しい動きが継続しそうだとみられている。

<短期筋の売買で乱高下、実需筋は様子見>

注目のGDPが発表されたにもかかわらず、日本株市場は薄商いが続いている。東証1部の売買代金は1兆5971億円、出来高は17億7744万株と今年最低を更新。GDPを材料に売買が交錯しているようなボリュームではない。「GDPを材料視しているのは短期筋。実需筋は動いていない」(大手証券トレーダー)という。

日経平均.N225は一時150円以上下落し、取引時間中としては6月28日以来となる1万3500円を割り込んだが、売り一巡後は下げ渋った。安倍晋三首相がGDPに関して記者団の質問に答えることが明らかになると一時プラス圏に浮上するなど、方向感は乏しい。ドル/円は、引き続き日本株に連動しており、95円台まで下落した後、96円台半ばまで切り返した。

もともと4─6月期GDPは市場の事前予想が前期比年率3.6%と高く、消費増税を後押しする内容になるとみられていたが、予想下振れで増税の行方がさらに混とんとしてきたことも、実需筋を手控えさせている要因だ。「不透明要素が大きい間は、実需筋は手を出しにくい」(国内証券)という。

消費増税が実施されれば、景気圧迫要因になるとの懸念は強いが、見送られた方が金利上昇を招き、景気を悪化させるとの指摘もあるなど、景気への影響は見方が二分。さらに実施が決断される場合でも、単独ではなく補正予算や法人税減税などセットになるとみられていることも予想を難しくしている。「過去の数字である4─6月期のGDPだけで、消費増税の行方を判断するのは難しい」(外資系証券エコノミスト)という。

最終的には安倍晋三首相の決断になるが、きょうの会見では昨年の政権発足以来、景気は回復基調にあるとして「経済政策に万全を期す」との考えを示しただけで言質は与えなかった。

<増税反対派と推進派の勝負、わからなくなってきたとの声も>

実際、4─6月期GDPは景気堅調、景気減速どちらにでも解釈できる内容だった。期待値が高かった市場予想より下振れたものの、景気実態は悪くないとの指摘も多い。3四半期連続でプラス成長を続けているほか、GDPデフレーターの前期比での上昇によって「名実逆転」も解消した。

甘利明経済再生担当相は12日、GDPについて、消費増税の判断材料の一つとしてはいい数字が出ている、と評価した。

一方、設備投資が予想外に弱かったことについて懸念も出ている。マイナス幅は前期より縮小したが、マイナス0.1%と引き続き水面下に沈んだままで、6四半期連続でマイナスとなった。「これまでのアベノミクス政策は大企業中心の政策だ。中小企業にまで広がっておらず設備投資は予想外に弱い可能性がある」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)という。

日本政策投資銀行が5日に発表した設備投資計画調査によると、2013年度計画は全産業で10.3%増となり、2年連続の増加となったが、調査は資本金10億円以上の大企業が対象。設備投資減税などがどこまで中小企業のマインドを刺激するかはまだ不明だ。

安倍晋三首相の経済政策のブレーンで内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大学教授は12日、ロイターとのインタビューに応じ、GDPについて、「思ったより低い」と指摘。その上で、9月公表の2次速報を見る必要があるが「まだまだ予定通りの消費増税の環境が整ったとは言えない」と述べた。

また、内閣官房参与を務める浜田宏一・米エール大名誉教授も12日、ロイターとのインタビューに応じ、4─6月期GDPを踏まえ、予定通りの消費税増税は日本の景気に悪影響を与える可能性があるとの認識をあらためて示した。

ニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストの矢嶋康次氏は「GDPが市場予想よりも下振れたことは、消費増税反対派のネタにはなるだろう。推進派との勝負の行方はわからなくなってきた。2次速報値までまだ1カ月もある。外部要因に加え、株価など市場の反応もカギを握るだろう」と話している。

伊賀 大記 編集:田巻 一彦

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