for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

焦点:ブラジル財政は来年大幅悪化が必至、成長減速などで格下げも

[サンパウロ 10日 ロイター] - ブラジルの財政状態は来年、大幅な悪化が必至だ。低迷する景気を回復させるために政府が採り得る選択肢は限られており、信用格付けは引き下げられる可能性が高まっている。

政府は2014年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字を国内総生産(GDP)対比2.1%とする目標を掲げているが、ロイターと複数の民間エコノミストの推計では、最大500億レアル(220億ドル)も目標を下回り、対GDP比率は目標の半分程度にとどまりそうだ。

プライマリーバランスが縮小すれば全体の財政赤字は拡大する。そうなれば、2008年に財政規律と力強い経済成長を背景に投資適格級の格付けを獲得したブラジルにとって、大きな痛手となりそうだ。

2011年以来、ブラジルの経済成長は急減速し、ルセフ大統領はこれに対応して税控除や融資補助を導入した。

この戦略は景気の下支えに役立たなかったばかりか、財政難を助長した。一方、ルセフ大統領は来年、2期目の続投に向けて厳しい選挙戦に突入する見通しで、大幅な支出削減はできそうもない。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場は既に、来年半ばの格下げを織り込んでいる。実際にそうなれば、格付けはジャンク級までわずか1ノッチとなり、政府や企業の借り入れコストは上昇して経済成長を一段と損なうだろう。

格下げはまた、通貨レアルの一段安を引き起こしてインフレ抑制を困難にする恐れもある。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のディレクター、セバスチャン・ブリオッゾ氏は「ブラジルには景気減速に対抗する財政政策を行う余地が幾分あるが、それは非常に限られたものだ」とし、来年にかけてこの点がどのように解決されるかを評価していくと述べた。S&Pは6月にブラジルの格付け「BBB」について見通しを「ネガティブ」としている。

政府のプライマリーバランス目標は、非常に楽観的な成長見通しを前提としている。大半のアナリストが2014年の成長率を約2.3%と予想しているのに対し、政府見通しは4%だ。

政府はこの見通しに基づき過度に楽観的な税収予想を導き出した上で、財政支出を来年10%以上拡大することを正当化した。

ジェトゥーリオ・バルガス財団のフェリペ・サルト教授やMCMコンサルトレスのアナリスト、カタリナ・ブラガ氏など、民間エコノミストもロイターと同じく、プライマリーバランス黒字が政府目標に届かないとみている。

<非現実的な目標>

ルセフ大統領はことし、ブラジル経済は十分成熟したため投資家は1桁台の金利と財政緊縮の緩和を受け入れるとみて、公共投資の拡大を掲げた。

S&Pが格付け見通しを引き下げて以来、政府は路線を変更したが、7月に発表した100億レアルの予算凍結などの是正措置によって状況が一変することはないとエコノミストは言う。

景気が来年減速しなかったとしても、財政目標が非現実的であることに変わりはない。エコノミストによると、政府は有料道路や空港のコンセッション(運営権)といった一時的収入を過大に見積もる一方、選挙年に州や市が実施しそうな支出を過小評価している。

バークレイズの予想では、来年のプライマリーバランス黒字はGDP対比わずか1.1%と、政府目標の2.1%からかけ離れた数字となる見通しだ。

通貨レアルが過去5年の最安値近辺に下落し、政府が最近、外為市場に介入したこともアナリストは注視している。

フィッチ・レーティングスの中南米ソブリン担当ヘッド、シェリー・シェッティー氏は電子メールで「外貨準備が大幅に失われるか財政状況が悪化する、あるいはその両方が起こった場合、格付けに下押し圧力が加わる可能性がある」と述べた。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの主任ブラジル・エコノミスト、デービッド・ベカー氏は最近の投資家向けノートで、ことし後半にムーディーズ・インベスターズ・サービスがブラジルの格付け見通しを変更する可能性があり、それが「重要な注目イベント」になると予想した。

(Silvio Cascione、 Asher Levine記者)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up