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焦点:適時開示で踏み込んだシャープ、金融庁はモデルケースに位置づけへ

[東京 24日 ロイター] - 増資決定前の報道に対するシャープ6753.Tによる適時開示の内容が、市場関係者の高い関心を集めている。これまでのコメントパターンに比べ、踏み込んだ表現を盛り込んだためだ。関係筋によると、同社の開示内容は金融庁や取引所の助言を踏まえたもので、金融庁は今後のモデルケースと位置付ける構えだ。

9月24日、増資決定前の報道に対するシャープによる適時開示の内容が、市場関係者の高い関心を集めている。3月6日撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)

シャープは18日朝、増資や業績修正に関する事前報道を受けて「本日開催の取締役会で付議する予定で、決定したら公表する」とコメントを発表した。

これまで同様のケースでは、多くの上場企業が「(報道内容は)当社の発表したものではありません」、「開示すべき事実が決定し次第、速やかに公表する」とのコメントを発表。否定とも肯定とも受け取れるとして「投資家にとって役に立たない開示だ」と、市場関係者からは数多くの不満が上がっていた。

一方、企業側からは「機関決定の前に不用意な開示は出来ない」「機関決定していないのだから、当社の発表したものではないとの開示はうそではない」といった反応が多く、あいまいな表現や内容が長らく慣例化してきた経緯がある。

今回は、増資に関する議案を取締役会に付議すると一歩踏み込んで公表した。市場関係者からは「現在進行している状況を説明するギリギリのラインまで詰めた表現」と、好意的に受け止められた。

<増資インサイダー問題、開示の見直し契機に>

シャープの新しい対応を導き出すきっかけになったのは、2012年に相次いで発覚した一連の増資インサイダー問題だった。

インサイダー規制の見直しを議論した金融審議会(首相の諮問機関)は、取引所に対し、事前報道があった企業が「より踏み込んだ情報開示をするよう」対応の検討を要請。日本取引所グループ(JPX)8697.Tはこれを受けて、13年内のガイドライン取りまとめを目標に作業に着手した。

この動きに拍車をかけたのが、川崎重工業7012.Tと三井造船7003.Tの統合交渉をめぐる開示の混乱だった。今年4月、両社が統合の交渉をしていると報道されると、川崎重工は報道直後に適時開示で報道内容を否定した。

しかし、約2カ月後に一転、統合交渉の事実を認めた。この事態に対し「2カ月間、株主は誤った情報の下にあった」(JPXの斉藤惇グループCEO=最高経営責任者)と、取引所と金融庁は危機感を募らせた。

<シャープの開示はモデルケースに>

「情報管理のできない企業には、徹底的な開示を求める」(金融庁幹部)との姿勢を金融庁と取引所が強める中、シャープの増資や業績修正をめぐる事前報道が相次いだ。

複数の関係筋によると、開示をめぐる混乱を再び招く事態は避けなければならないとの危機意識を金融庁と取引所、シャープの関係者が共有。

シャープは、取締役会で増資を決議する前に事前報道があった場合、どのような文言を使って開示すべきか、金融庁とその意を受けた取引所と、ひざ詰めで仕上げた。取締役会開催の前日17日午後に報道があった場合や、決議当日の早朝に新聞報道があった場合など異なった展開を想定していくつかの対応パターンを検討したという。

企業の情報管理について金融庁幹部は、増資などの重要事実が漏洩(ろうえい)しないよう情報管理を徹底することが最も重要と話す。

その上で正式発表前に報道が出た場合には「投資家に対して、可能な限り踏み込んで現状を説明する必要がある」と指摘。今回のシャープの開示は「モデルケースの一つ」(金融庁の別の幹部)と位置づけている。JPXが策定中のガイドラインにも反映される見通しで、事前報道のあった上場企業には今後、取引所を通じて同様の取り組みを促していく構えだ。

Reporting 平田 紀之、江本 恵美 編集;田巻 一彦

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