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世界で突出する日本株下落、五輪決定後のロング閉じる動きか

[東京 7日 ロイター] - 世界の主要株価指数の中で、日本株の下落率が突出して拡大している。米財政問題への懸念が深まり、リスク回避の動きで株価はほとんどの国で軟調だが、日経平均.N225は前週1週間で約5%下落。「震源地」である米国のダウ.DJIさえも大きく上回る下げとなっている。

10月7日、世界の主要株価指数の中で、日本株の下落率が突出して拡大している。写真は昨年11月、東京証券取引所で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

消費増税による景気腰折れ懸念も指摘されているが、東京五輪決定でイベントドリブン型のヘッジファンドが積み上げたロングポジションの巻き戻しが主因との見方が有力だ。

<消費増税はニュートラルな材料>

米議会の対立が鮮明化した前週、世界の株価指数は総じて軟調だった。9月27日─10月4日に、FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は0.8%、英FT100種総合株価指数.FTSEは0.9%、独クセトラDAX指数.GDAXIは0.4%、仏CAC40種平均指数.FCHIは0.5%、韓国総合株価指数.KS11は0.7%、香港ハンセン指数.HSIは0.2%と軒並み下落している。

その中で目立って下落したのが日本株だ。ほとんどの指数の下落率が1%以下なのに対し、日経平均.N225は4.98%、TOPIX.TOPXも4.41%だった。米財政問題の中心である米国のダウ.DJIでさえ1.21%の下落、S&P500.spxはほぼ変わらずであり、その軟調ぶりが目立っている。週明けの7日の市場でも日経平均は下げ幅を広げており1%を超える下落となった。

他市場の下落率が小さいのは、現時点では、予算案について、米両党がほとんど歩み寄りが見られないとはいえ、急転直下、合意に至る可能性もあるためだ。「ロングを外す動きは続いているが、新規のショートポジションは組みにくい。米国が債務不履行(デフォルト)に至る可能性は小さく、相場急反転のリスクを想定しなければならないためだ」(準大手証券)という。

ショートを組みにくいのは日本株も同じ。予想株価収益率(PER)などバリュエーション的に割高感は乏しいほか、業績予想の上方修正期待が大きい3月期決算企業の中間期算発表を控えている。消費増税による景気腰折れが懸念されているものの、「消費増税は日本が財政再建に前進した」との好評価もある。

「むしろ消費増税を見送れば、日本への失望売りが出た可能性もある。景気圧迫要因には違いないが、果たして景気を腰折れさせるかどうかはまだわからない。消費増税自体は今のところ、ニュートラルな材料だ」と東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏は指摘する。

<海外短期筋のポジション巻き戻し>

そうした中で、日本株の下落率が大きいのは、海外短期筋のロングポジションが溜まっていた反動が出ているとの見方が有力だ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「東京五輪決定で、イベントドリブン型のヘッジファンドが日本株のロングポジションを積み上げた可能性がある。その巻き戻しの分だけ下落率が高いのだろう」と指摘する。

2020年夏季五輪が東京に決定したのは9月7日。日経平均は週明けの9月9日から26日まで6.7%上昇していた。

その間、米ダウは2.7%、FTSEユーロファースト300種指数は2.2%の上昇にとどまっている。東京五輪決定を材料に、一部の海外勢が日本株先物のロングを積み上げた可能性があり、「消費増税決定で国内のマクロイベントが一巡したとみて売ってきたようだ」(藤戸氏)という。

実際、株式先物の売買手口をみると、前週はCTA(商品投資顧問業者)の注文を仲介するとみられている欧州系証券の売り手口が目立った。押し目買いのチャンスとの強気な見方もあるが、米財政問題が片付くまでは買いは入れにくく、ポジション解消の売りにズルズルと押し込まれている。

先物売りが裁定買い残の解消売りを巻き込んで下げを加速させた可能性もある。東京証券取引所がまとめた9月24日─9月27日のプログラム売買状況によると、金額ベースの裁定買い残(当限・翌限以降の合計)は4週ぶりに減少した。

一方、現物株の東証1部売買代金は2兆円の大台を割り込むことも多くなっており、多くの長期投資家は様子見であることを示している。

<リバウンドは小規模になる可能性も>

ドル/円もポジション調整のドル売り/円買いが圧迫しているとみられている。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の取組は、連邦政府機関閉鎖のため、9月31日時点のデータが明らかになっていないが、9月24日時点では投機筋の円ショートは、9万2818枚とピークの93%にまで膨らんでいた。

このため米財政問題が解決すれば、再びドル高・円安の動きが再開するとの見方も多い。FPG証券・代表取締役の深谷幸司氏は「財政協議の結果の帰すうについては予断を許さないが、この問題のお膝元である米国内における予測や投資判断を尊重するのであれば、リスク回避は一時的であり、従って、様々なリスク価格の下落やリスクポジション圧縮の動き、円高の動きは早晩反転する公算が大きいとみている」と述べている。

ただ、米両党が合意に至る可能性を警戒して、新規の日本株ショートや円ロングは積み上がっていない可能性が大きい。投資家の指針となる米経済指標は、米政府機関閉鎖で発表延期が続いている。米政府機関閉鎖の影響をデータで確かめるまでは、リスクオンには移りにくく、短期的にはリバウンドはそれほど大きくないかもしれない。

伊賀 大記 編集:田巻 一彦

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