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焦点:揺らぐオバマ政権のアジア戦略、中国の「抜け駆け」に懸念も

[クアラルンプール 6日 ロイター] - 台頭する中国をけん制し、軍事・経済面での影響力を取り戻すためにアジアへ軸足を移す米国の戦略が、オバマ米大統領のアジア歴訪中止で揺らぐかもしれないとの懸念が強まった。

10月6日、台頭する中国をけん制し、軍事・経済面での影響力を取り戻すためにアジアへ軸足を移す米国の戦略が、オバマ米大統領のアジア歴訪中止で揺らぐかもしれないとの懸念が強まっている。ワシントンで3日撮影(2013年 ロイター/Jason Reed)

米国やアジアの外交筋は歴訪中止の影響をそれほど問題視していないが、米政府の機能不全・混乱といった印象を与え、その隙にアジアで中国が米国を出し抜くとの見方も浮上しているためだ。

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のパシフィックフォーラムのディレクター、カール・ベーカー氏は「米国のコミットメントが持続可能なものかをめぐって、アジアで懸念が浮上する兆しがある」と指摘する。

米大統領のアジア歴訪中止が発表される中、中国・習近平国家主席のインドネシア初訪問に伴い、約300億ドル相当の投融資契約が発表された。続いてマレーシアで習主席は、同国のナジブ首相と会談し、両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることで合意したことを明らかにした。

習主席は今週、バリ島で開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、およびブルネイでの東アジアサミットに出席する。

<中国の影響力拡大>

2011年以降、大半のアジア諸国にとって中国は最大の貿易相手国となってきており、域内での直接投資は欧米や日本と比べて規模で劣るとはいえ、着実に拡大してきた。

尖閣諸島をめぐる日中対立や、フィリピンなど複数国との対立という足かせはあるものの、中国は商業上のつながりをてこに、外交、政治、軍事面での影響力を強めている。

オーストラリア国防大学(キャンベラ)のカール・タイヤ-名誉教授は「米国と緊密なつながりを持たない国にとっては、今回のオバマ氏不在で、中国側につく姿勢を一段と強めることになる」と指摘した。

中国は原子力潜水艦や通常の潜水艦、駆逐艦などの建造をどの国よりも早いペースで進める。増々近代化している港湾から、軍艦を定期的に派遣。その数は増えて距離も長くなっており、アジアでは海上防衛でのパワーバランスという点でソ連崩壊以降、最も急激な転換が起こっている。

中国が「平和的な勃興」を掲げて影響力を拡大させる中、東南アジアでの軍事外交は急発展。ただしアナリストや外交官は、中国が、圧倒的な軍事力を誇る米国だけでなく、オーストラリアや日本、ロシアといった域内の他国に追いつくにも時間がかかる、との見方を示している。

<持続的な関与への期待>

アジアで米国との関係が深い国の1つであるシンガポールのリー・シェンロン首相は、オバマ大統領のアジア歴訪中止に遺憾の意を表明。

バリ島に到着した同首相は「機能不全に陥る米政府より、機能している米政府をもちろん期待している。また、国内問題で手一杯の米大統領よりも、国際的な責務を果たすため外遊ができる大統領が望ましいと思っている」と述べた。

米当局者はオバマ氏の歴訪中止が米国のアジアに対するコミットメント低下を示すものではないとの見方を示した。

オバマ大統領に代わり、APEC首脳会議などで米国側代表を務めるケリー国務長官は「大統領の下で政策の基本的な方向性は全く変わらないというのが肝心な点だ」と述べた。

経済面では米国はTPP交渉を主導しており、交渉参加国は12カ国に拡大。ただ各国の利害が絡む交渉が近く妥結する可能性は低い。

最終的には米議会の承認も得る必要があり、国内での政治的な行き詰まりが、オバマ氏のアジア外交の妨げとなる可能性も高まっている。

CSISのベーカー氏は、TPPで大筋の合意が成立したとしても、現状では議会承認を得られる可能性は低いとの見方を示した。経済面でのアジア戦略では「実際の行動よりレトリックが先立ちそうだ」と述べた。

(Stuart Grudgings記者;翻訳 青山敦子;編集 佐々木美和)

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