[東京 11日 ロイター] - ソニー6758.Tの平井一夫社長は11日、ロイターなどとのインタビューで、スマートフォンで世界3位になる目標に向けて、課題の米国と中国の展開について「まだ何年後にどうなると言える段階ではない」と述べて、先行きの厳しさをにじませた
スマホ販売でソニーは、韓国サムスン電子005930.KS、米アップルAAPL.Oの「スマホ2強」に続く世界3位を目指している。米調査会社IDCの出荷台数シェアによると、13年4―6月期は、首位がサムスン、2位がアップルで、韓国LG電子066570.KS、中国レノボ0992.HK、華為技術(ファーウェイ)002502.SZが続き、上位5社にソニーは出てこなかった。
ただ、地域別にみると、ソニーは欧州と日本で一定の存在感を示している。IDCによると、日本では首位アップルに続き2位、西欧でもサムスン、アップルに続く3位のシェアを確保。平井社長は世界3位の目標に向けては「これから米国と中国の市場でどう戦っていくかが大きな柱になる」と述べた。ただ「米国と中国はまだまだの段階」とも指摘した。
米国市場では、エクスペリアの供給先がTモバイルTMUS.N1社にとどまっており、中国市場では現地メーカーの台頭が激しい。例えば、米国での本格展開には多額の先行投資が必要になることから、平井社長は「全部いっぺんにやろうとするのは現実的ではない」と語り、米国と中国のシェア拡大には時間がかかるとの見通しを示した。
当面は「日本と欧州のシェアを確実に守って、増やしていくことが最優先の課題」と述べて、得意とする市場を着実に固めていく考えを示した。
特に日本市場については「NTTドコモ9437.Tとのパートナーシップで、エクスペリアはかなり認知されている」と強調。NTTドコモは、アップルのアイフォーン販売を決定しただけでなく、ソニー以外にも、富士通 6702.Tとシャープ6753.Tのスマホを「おすすめ」として重点販売する方針だが「この中でもエクスペリアはブランドが確立しているので、注目度は高いだろう」と自信を示した。
<テレビは積極的にシェア拡大へ>
また、平井社長は、2012年度に9期連続で赤字に陥った液晶テレビ事業について「今までは赤字を減らすためにシェアを意図的に減らしてきたが、これからは積極的に強い商品で市場シェアをどんどんとっていく」と述べた。今期10年ぶりに同事業を黒字化する計画については「計画通りに進んでいる」とした。
平井氏が液晶テレビ事業の責任者に就任した2011年度以降、赤字縮小を最優先に出荷台数を絞り込んできたが、13年度のテレビ販売は1500万台を計画。12年度実績は1350万台と、11年度の1960万台から大幅に減らしたが、今期はフルハイビジョンの4倍の解像度の「4K」対応など「強い商品」を発売することで拡大路線をとるという。
2013年4―6月期 スマホ出荷台数シェア 出所:IDC
(世界)
1 サムスン電子 32%
2 アップル 13%
3 LG電子 5%
4 レノボ 5%
5 華為技術 4%
(日本)
1 アップル 36%
2 ソニー 20%
3 シャープ 14%
4 サムスン電子 13%
5 富士通 4%
(西欧)
1 サムスン電子 43%
2 アップル 18%
3 ソニー 11%
4 LG電子 8%
5 ノキア 6%
(中国)
1 サムスン電子 18%
2 レノボ 12%
3 宇竜(クールパッド)11%
4 中興通訊(ZTE) 9%
5 華為技術 9%
(米国)*
1 アップル 42%
2 サムスン電子 26%
3 LG電子 9%
4 京セラ 8%
5 中興通訊(ZTE) 5%
*米国のデータは13年1―3月期。
(村井 令二 編集;田巻 一彦)
*内容を追加します。
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