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FOMC前にドル買い戻し、弱い米指標多く一時的な動きか

[東京 30日 ロイター] -ドル/円が98円台前半まで上昇しているが、ショートカバーに過ぎないとの見方が多い。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前にいったんポジションを閉じる動きだという。

10月30日、アベノミクスのカギを握る円安が一服するなかで、日本株の上値も重くなっている。写真は都内で4月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

アベノミクスの勢いを維持するには、米量的緩和の縮小先送りを織り込んで米株高が続き、そのリスクオンに反応する形で円安に移行する、という展開が欲しいところだ。しかし、弱い米経済指標が続く中では、それも難しい。アベノミクスのカギを握る円安が一服するなかで、日本株の上値も重くなっている。

<円安一服でアベノミクス期待が後退>

アベノミクスがもたらした経済効果で一番大きいのは円安だとみるエコノミストは多い。日本株上昇を支える直接の要因は、円安による輸出企業の業績改善への期待であり、実際、中間決算では輸出企業を中心に業績が改善している。その結果、なかなか進まないとはいえ、安倍政権が狙う賃金上昇がようやく議論されるようになってきた。

円安効果で、デフレ脱却期待も高まりつつある。輸入物価上昇によるコストプッシュの面もあるが、輸出企業の増益が国内消費需要の拡大につながっているというディマンドプルの要素もある。「消費のデータが大きく改善しているのは、円安による企業収益改善の効果が表れているため」と第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏はみる。

その円安が足元で一服し、アベノミクスへの期待感は後退しつつある。ドル/円は100円の大台を持続的に超えることが難しくなっており、日本株も「円安期待の後退で輸出企業の業績改善期待が後退し、上値が重くなっている」(大和証券・投資戦略部シニアストラテジストの高橋卓也氏)という。

中間決算をみると、国内輸出企業は円安効果で増益基調にあるが、現在の為替水準が続けば、来期決算では円安による収益押し上げ効果は期待できない。それまでに円安を活かして国際競争力を向上させていくのが日本企業にとっての緊急課題だが、直近の輸出のデータを見る限りでは、輸出収益の増加は依然として円安によるところが大きく、数量回復には至っていない。

<ドル本格上昇は来春以降との見方>

円安を阻んでいるのは、米量的緩和縮小(テーパリング)先送り観測によるドル売りだ。米財政協議が混乱し、相対的に堅調とみられていた米経済が変調をきたした結果、当初は今年9月にも実施されると見られていたテーパリングへの予想時期は先延ばしになっている。先物レートなどからみると、市場では来年3月以降の実施がコンセンサスになっている。

29日の海外市場では、弱い経済指標が続いたにもかかわらず、ドル/円が98円前半まで上昇したことに注目が集まった。「為替市場がテーパリング先送りをほぼ織り込んだうえで、米株高のリスクオンに乗ったドル高でだったのなら、トレンドが変わるかもしれない」(国内銀行)との期待が高まったからだ。

だが、市場では、あくまでFOMC前に、ドルショートポジションを巻き戻す動きが出たに過ぎないとの見方が多い。ドル指数.DXYは79ポイント台まで低下し、2月1日以来の低水準となっている。「テーパリング先送り観測でドルショートが溜まっていた。やや行き過ぎていたため、短期筋がイベント前にいったん巻き戻したようだ」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。

今晩のFOMCは政策据え置き予想が大勢で、実際にそうなればドル買い戻しが加速する可能性もある。しかし、市場では、「本当にドルの騰勢が強まるのは来春以降になるのではないか」(みずほ銀行・国際為替部マーケット・エコノミスト唐鎌大輔氏)との見方が多い。円安期待が後退する中で、アベノミクスも正念場を迎えている。

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