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焦点:欧州にデフレの脅威、「グレートローテーション」は反転か

[ロンドン 13日 ロイター] -ユーロ圏にデフレの脅威が浮上したため、今年の主要な投資テーマとなってきた「国債やキャッシュから株式への資金移動」という流れが反転する可能性がある。

11月13日、ユーロ圏にデフレの脅威が浮上したため、今年の主要な投資テーマとなってきた「国債やキャッシュから株式への資金移動」という流れが反転する可能性がある。写真は独フランクフルトのECB本部前で2月撮影(2013年 ロイター)

欧州の物価が下落に転じるまでにはなお、ある程度の距離があり、ましてや日本型のデフレに陥る兆しは見えない。

しかしユーロ圏の10月のインフレ率は0.7%と、欧州中央銀行(ECB)が目標とする「2%を下回るがそれに近い」水準を大幅に下回り、ECBは利下げに踏み切った。

債券から株式への資金移動という「グレートローテーション」は今年、多くの株価を数年ぶりの高値、あるいは過去最高値へと押し上げ、不動産その他の比較的利回りが高い資産の上昇に火を点けた。

しかし低インフレ率や物価下落といった環境では、こうした投資戦略は損失をもたらしかねない。慢性的に物価が下落すると、投資家は超リスク回避志向になる。

JPモルガンの資産アロケーションヘッド、ジャン・ルイス氏は「デフレは当然の帰結として現在よりも低い成長率につながる。そうなれば株よりも債券の魅力が増すだろう」と述べた。

株価は明らかに反落の可能性がある。米S&P500種総合株価指数とダウ工業株30種はともにここ数週間で過去最高値を更新。ドイツのDAX指数は5年ぶりの高値を付け、日経平均株価は年初から37%上昇している。

グレートローテーションという言葉の生みの親であるバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、世界の株式ファンドには今年2310億ドルの資金が流入した。債券ファンドの資金流入額は160億ドル止まりで、過去14週のうち12週は資金流出を記録している。

しかもインフレ率がさらに低下すれば、ECBは追加緩和に踏み切る可能性がある。

<売られやすい金融株>

デフレだけでは株価にとってストレートな悪材料とはいえない。緩やかな経済成長を伴うデフレなら、株価には上昇余地がある。

しかしそうした環境であっても、金融株はアンダーパフォームする傾向がある。デフレは借り手の実質債務負担を増やして不良債権を増大させる上、長短金利差が縮小して銀行の純金利マージンが圧縮されるからだ。

UBSウェルス・マネジメントのチーフ英国投資ストラテジスト、ビル・オニール氏は「デフレ心理が欧州に浸透し始めれば、リスク資産と非リスク資産の関係について再考を迫られる。市場は国債など名目リターンが保証された資産に焦点を当てるようになるだろう。株式、特に金融株のリスクには注意を払いたくなる」と言う。

投資家は既にそうしたリスクを認識しているのかもしれない。欧州の金融株は今月1.5%下がり、欧州で最もアンダーパフォームしたセクターとなっている。

欧州銀は規制強化に加え、景気低迷と記録的な高失業率を背景とした借り入れ需要の激減に対応し、バランスシートの縮小を進めている。

この「デレバレッジ」が持つデフレ圧力は強力だ。銀行の貸し出しが減れば、信用創造と支出も減速する。モルガン・スタンレーによると、欧州銀は過去1年間で3兆ユーロの資産を処分しており、うち1兆ユーロはことし第2・四半期だけで実施された。

最も売られやすいのが金融株だとすれば、最も堅調に推移しそうなのはユーロ圏の質の高い輸出業者の株かもしれない。デフレがユーロ圏内の現象に限られるとすればだ。

アビバのマルチ資産チームのファンドマネジャー、ニック・サムイルハン氏は「価格決定権がすべてだ」と言う。

デフレ環境で好まれる投資はキャッシュと国債が中心となりそうだ。低インフレ、あるいはデフレの局面において、キャッシュと国債はリターンは低いが比較的「安全な」資産と見なされる。

その中でもスペインやイタリアなど利回りの高いユーロ圏周縁国債は、デフォルトリスクがほぼ消滅した今では最高の投資対象かもしれない。ロンバー・オディエのストラテジスト、サルマン・アハメド氏は「景気悪化方向のショックが起これば、ユーロ圏周縁国債は上昇するだろう」と述べた。

(Natsuko Waki and Jamie McGeever記者)

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