[21日 ロイター] -ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は21日、映画の製作本数を減らし、より高い利益率が見込めるテレビ製作・ネットワーク事業に大きく軸足を移す方針を示した。
カリフォルニア州カルバーシティにある同社のスタジオで開かれた投資家との会合で、ソニー6758.T幹部が明らかにした。
ソニーの株主である米ヘッジファンド、サード・ポイントを率いるダニエル・ローブ氏は5月、ソニーに対し映画・音楽などのエンターテインメント事業の分離上場を提案。また映画製作事業の収益性改善を求めていた。
ソニーのエンターテインメント事業のマイケル・リントン最高経営責任者(CEO)によると、映画部門(テレビ事業含む)の2015年度売上高は84億ドル、営業利益率は7.5%の見通し。
音楽部門の2015年度売上高は48億ドル、営業利益率は9.5%を見込む。
CEOは、向こう2─3年間で2億5000万ドルの経費を削減する方針を明らかにし、さらなるコスト削減のため「第三者」と協力する考えを示した。
来年の映画の公開本数について、SPEのエイミー・パスカル共同会長は20本に満たないとし、従来の23本よりも少なくなると指摘。来年の夏季の公開本数は4本で、今年の9本から半減する見通しと述べた。
10月31日に発表された第2・四半期(9月30日までの3カ月)決算は、映画部門の営業損益が1億8100万ドルの赤字だった。
ハドソンスクエア・リサーチのダニエル・アーンスト氏は、エンターテインメント事業について、ドラマシリーズ「ブレイキング・バッド」のヒットやインドでの主導的な事業展開など、知られざる魅力が多分にあると評価する一方、「だからこそ同事業を分離して上場させれば、認知度も増すし事業価値も高まると考えざるを得ない」と指摘した。同氏のソニー株の投資判断は「ホールド」。
関係筋によると、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは少なくとも1億ドルのコスト削減を実現するため、コンサルティング会社べイン・アンド・カンパニーを起用した。
*内容を追加します。
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