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焦点:コアCPIは4月以降伸び鈍化へ、追加緩和思惑に新たな材料も

[東京 29日 ロイター] -10月消費者物価指数(除く生鮮、コア)が前年比プラス0.9%に上昇し、市場では2013年度中にコアCPIが1%を超えるとの予想が増加している。その結果、市場の一部で期待感が高まっている日銀の追加緩和は、その可能性が短期的に低下したとの声が増えている。

11月29日、来年4月の消費増税後には、コアCPIの上昇率がプラス0.7%程度に低下するとの予想が民間エコノミストの間では多い。写真は5月、都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

ただ、来年4月の消費増税後には、コアCPIの上昇率がプラス0.7%程度に低下するとの予想が民間エコノミストの間では多い。日銀審議委員の中にも弱気な見方がジワジワと広がるなど、BOJウォッチャーの間では、先々の追加緩和の可能性について、物価上昇率との関連に加えて新たな要因も浮上してきたとして、具体的な時期を探ろうとする動きも出ている。

<物価上昇テンポ加速、追加緩和必要性薄れる>

10月の消費者物価統計での注目点は、指標となるコアCPIの上昇率加速とともに、振れの大きい食料とエネルギーを除いたコアコアCPIも5年ぶりにプラス転換し、経済全体の体温が上がってきたことだ。

ニッセイ基礎研究所・経済調査室長の斉藤太郎氏は、外食、月謝、フィットネスクラブ使用料などサービス価格でも上昇品目が目立つようになり「足元の物価上昇は裾野の広がりを伴ったものとなってきた」とみている。

また、多くのエコノミストは全国コアCPIが、今年11月から年度末にかけて1%台の伸びを続ける可能性が高いとみている。

このCPIの推移は、市場の一部にある日銀による追加金融緩和への期待感を短期的に弱める材料となりそうだ。

さらに足元で再びドル/円が100円台の円安となっていることも、物価の押し上げ材料となる。

クレディ・スイス証券、チーフエコノミストの白川浩道氏は「足元の円安によって、短期的には日銀がアクションを取りにくくなっている」とみている。日銀が追加緩和に前傾化できるためには、再び4、5円程度の円高が必要と指摘した。

<早期緩和材料も目白押し>

問題は、来春の消費増税後の物価の推移だ。最新のフォーキャスト調査によれば、消費増税の影響を除いたベースで、来年4─6月のコアCPIは0.8%台に低下。その後は0.7%台で推移する見通しとなっている。

こうした予想に基づき、追加緩和の時期について、フォーキャスト調査では今のところ来年4月との見通しが半数近くを占めている。

もっとも日銀が来年春闘での賃上げ動向や、4月の消費者物価統計を見極めるのであれば、そうした材料が出そろう来年6月以降になって追加緩和の議論が始まるという見方も少なくない。

一方で、より早期の追加緩和を促す材料にも事欠かない。野村総研・金融ITイノベーション部長の井上哲也氏は「日銀審議委員の間で、2年で2%の目標実現への見方が割れつつある状況では、来年1月の見通し改定や4月の展望リポートでの見通し見直しを含めて、追加緩和も早めの対応が考えられる」と予想している。

また、SMBCフレンド証券・シニアマーケットエコノミストの岩下真理氏は、安倍晋三首相が次なる10%への消費税増税に取り組む意思があれば、日銀に対し早期緩和の圧力を強めるはずと予想している。

公的年金の改革を議論する政府の有識者会議が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国債中心の運用を見直す方針を打ち出したことも、日銀の追加緩和の時期に影響するとの見方が浮上している。国内外の投資家が国債市場から資金を引き上げる動きが強まれば、日銀が下支えする必要が出てくるとの見方だ。

様々な要因が予想される中、日銀は追加緩和に関し、これまでのところ明確な意思表示をしていない。ただ、黒田総裁は「目標達成には上下双方向のリスクがあり、必要に応じて政策を調整する」と発言しており、追加緩和はいずれ実施されるとの見方が市場に広がっている。

中川泉 編集:田巻一彦

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