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高まる通貨安期待、豪中銀総裁が為替レートに異例の言及

[東京 13日 ロイター] -オーストラリア中銀総裁が具体的な為替水準に異例の言及をし、注目を集めている。金利を引き下げにくいなかでの「口先介入」との見方が多い。

12月13日、オーストラリア中銀総裁が具体的な為替水準に異例の言及をし、注目を集めている。写真は2011年8月、都内の外為ディーラー(2013年 ロイター/Issei Kato)

各国とも政策の手詰まり感が漂う中で、当局者や市場は通貨安による景気押し上げに期待を寄せているようだ。日本でも対ドルでの円安が節目を突破し、業績拡大期待が強まっている。ただ、通貨安政策は近隣窮乏策との批判も浴びやすい。人為的な通貨安はその反動に対する警戒も必要だ。

<内需刺激を期待か>

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のスティーブンス総裁が12日付の地元紙とのインタビューで豪ドルレートの水準に言及したことが話題になった。「(1豪ドル)0.95米ドルよりは0.85米ドルの方が望ましい水準に近い(closer to themark)。しかし、現実にはそれほどぴったりいくとは思わない」と比較的柔らかな言及だったが、具体的な為替レートに触れた中央銀行総裁の発言は驚きとなり、豪ドル安が進んだ。

異例の「口先介入」を行った背景には、同国経済の弱さがあるとみられている。7─9月期の実質国内総生産(GDP)は前期比0.6%増と市場予想の0.8%増を下回った。市場では「資源など外需は比較的しっかりしているが、内需が弱い。通貨安による観光客呼び込みなどがねらいではないか」(大和証券・投資戦略部シニアストラテジストの山田雪乃氏)との見方が出ている。

オーストラリアは資源大国だが、経済の7割を第3次産業が占めるサービス産業型経済。通貨安は輸入価格上昇などマイナス面もあるが、同国のCPI(消費者物価指数)は2%台で落ち着いており、現時点ではインフレの懸念は小さい。豪ドル相場を押し下げ、輸出だけでなく観光など国内需要も刺激したいとのねらいのようだ。

豪中銀の政策金利は、欧州債務危機及び資源ブームの減速による景気減速を受け、2013年8月までに2.5%まで引き下げられたあとは、据え置きが続いている。日米中銀と違い利下げ余地はまだあるが、「これ以上低下させればバブル発生の可能性も高まる。口先介入で効果をあげたいのだろう」と山田氏は読む。

<円安から株高への流れに回帰>

日本でもアベノミクス効果に一巡感が強まる中、円安に寄せる期待が大きくなってきた。これまでに打ち出された成長戦略には賛否両論あり、実際にその効果が上がってくるとしても、まだ先だ。短期的に企業業績を押し上げるには円安が一番有効との見方が市場では徐々に強まっている。

「税制改正大綱で法人税減税などは先送りとなり、期待感は高まらなかった。補正予算の規模も想定範囲内。やはり当面は円安による企業業績拡大ぐらいしか期待は見当たらない」とSMBCフレンド証券チーフストラテジストの松野利彦氏はいう。

日経平均は寄り付きこそメジャーSQ(特別清算指数)算出が売り越しになったことで弱含んだが、売り一巡後は円安を好感した押し目買いが入り、プラス圏に浮上。後場はドル/円が年初来高値の103.74円を更新したことで、上げ幅は一時200円に迫った。

ここしばらく、日本株と円安の関係は、株高がリスクオンによる円売りを促し、円安が進むという展開が続いていたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控え、米金融政策に関心が高まる中、円安が株高に先行する展開に戻ってきた。

ドル/円は、米量的緩和縮小(テーパリング)観測に加え、フォワード・ガイダンスに慎重な次期米連邦準備理事会(FRB)副議長にスタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁の就任が浮上したことなどもあり、上昇圧力がかかっている。

シティバンク銀行・個人金融部門シニアFXマーケットアナリストの尾河真樹氏は米財政協議の合意と堅調な米小売売上高により、5割の確率で来週のFOMCでテーパリング開始が決まる可能性があると指摘。来週はFOMCにかけてドルが強含む展開になりそうだとみている。

ドル主導の円安とはいえ、各国がこのまま円安を「容認」してくれるかには疑問の声も出ている。「各国とも政府債務の膨張で政策には手詰まり感がある。通貨安政策で景気を押し上げたいのはどこも同じだ。海外の輸出産業から円安に対して批判が出てくれば、いまの円安ムードに逆風が吹き始めるかもしれない」(外資系証券エコノミスト)という。

伊賀大記 編集:北松克朗

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