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アングル:冷や水浴びたドル/円相場、円安基調継続でも調整余地

[東京 14日 ロイター] -予想外に弱い結果となった米雇用統計で円相場は冷や水を浴びせられたが、市場では、基調としての円安が継続するとの見方が依然多数派だ。

1月14日、予想外に弱い結果となった米雇用統計で円相場は冷や水を浴びせられたが、市場では、基調としての円安が継続するとの見方が依然多数派だ。都内で9日撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

しかし、6年半ぶりの高水準に積み上がっている投機的円売りポジションが部分的に解消されるだけでも、1ドル=100円程度まで下押しする余地があるとの見方も出ている。

<米景気を検証するフェーズに>

前週末の12月米雇用統計を受け、ドル/円相場は発表直前の高値105.42円から13日の安値102.85円まで2.5円以上急落した。

市場では「株高/円安相場が冷や水を浴びせられた。基調に変化はないとはいえ、さすがにすぐに気を取り直して105円、106円を目指すのは無理だろう」(機関投資家)とされ、市場は米景気動向について「落ち着いて検証するフェーズ」(同)に入ったという。

それでもなお、基調はドル高/円安との見方が東京市場では大勢だ。先進国において金融緩和縮小に動き始めたのは唯一米国のみで米国経済の回復基調がしっかりしているとの認識と期待が背景にある。

「海外勢、本邦勢とも、10月下旬からの一本調子のドル高/円安の流れの中で、買う機会を逸した参加者は多い。下がったら買いたいという意欲がドルの下値を支えるだろう」(邦銀)という。

「雇用統計後はパニック的なドル売りが入ったが、非農業部門雇用者数の10月分、11月分と大幅に上方修正されており、12月分も今後上方修正される公算が大きい。100円までの調整はないと思っている」とFXプライム取締役の上田真理人氏は言う。

12月の米雇用統計では、NFPが7万4000人増と、約3年ぶりの低い伸びとなったが、11月の非農業部門雇用者数は3万8000人上方修正され10月分も上方修正された。

シティバンク銀行、個人金融部門・シニアFXマーケットアナリストの尾河真樹氏は「今回の米雇用統計の結果でも、米連邦準備理事会(FRB)の政策は何も変わらないとみている。1回だけの統計では何とも言えないということもあるが、ほぼ天候要因で説明できる内容だった」と指摘。基本的に緩やかなドル高/円安という方向性に変わりはないとの見方を示している。

<投機的ポジションの解消リスク>

足元でのドル/円の下落は、年末に強まった円安モメンタムで蓄積された円ショートが、米雇用統計をきっかけに部分的に巻き戻されたことが原因とみられる。

主要8通貨によるドルの合成ポジションは1月7日時点で198億ドルと、ドルの買い持ちとしては2013年9月10日以来の高水準となった。円のネット売り持ち高は1兆6109億円と、前週の1兆6904億円から縮小したものの、2007年夏以来の高水準にあることに変わりはない。

「過去のデータに鑑みて、IMMで円ショートの積み上がりの反動としての調整幅はドル/円で5%程度になることがある。現在の相場では100円程度までの調整が起きる余地があるとみている」とJPモルガン・チェース銀 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏は言う。

他方、ドル高/円安にこれまでの勢いがなくなったことを裏付ける出来事も起きている。

12月の米雇用統計が発表された10日のニューヨーク市場では、ドル/円相場が、同統計発表時刻(日本時間午後10時半)の40秒前に高値(105.42円)を更新。その後10分後に104.19円まで下落した。

データ公表直前のドル/円の上昇について、一部の情報が事前に漏れ、発表後の下げ幅を拡大によって収益を膨らませることを意図したオペレーションが一部の投機筋によって実行されたとの見方が出ている。「円ショートで思うように利益が上がらなくなったファンドによる苦し紛れのオペレーション」(海外投資家)だという。

<警戒される株高・円安の逆回転>

日本では14日、経常収支と対外直接投資の2つの円安材料が明らかになった。

11月の経常収支は5928億円の赤字となり、ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予想中央値3804億円を大幅に上回った。

またサントリーホールディングスSUNTH.ULは13日、米ビーム社(イリノイ州) BEAM.Nの全株式を1株あたり83.5ドル、総額160億ドル(約1兆6500億円)で取得、買収することで合意したと発表した。2014年6月までに買収を完了させる予定。外為市場では、調達額の一部は円投/ドル転により手当てされるとみられている。

ただ、足元の調整ムードを覆すほどのインパクトは出なかった。海外投資家による株式投資は昨年、過去最高水準に達しており、株高/円安のモメンタムを形成したが、リスクオンモードの後退で、その逆回転が危ぶまれているためだ。

財務省によると、12月の非居住者による対内株式投資は2兆1265億円の取得超、11月の2兆6384億円の取得超に続き、連続で2兆円を上回る規模となった。対内株式投資は4月に3兆0805億円を記録しており、2013年暦年では、15兆8416億円と、前年の2兆1272億円を大幅に上回り、暦年データが取得可能な2005年以来、過去最高となった。

規模が大きかっただけに、市場では「海外投資家の円資産拡充にともなう円売りヘッジは、円資産を部分的に圧縮しただけでも、為替相場に影響を及ぼすだろう」(ファンド・マネージャー)と警戒感が強まっている。

森佳子 編集:伊賀大記

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