for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

新興国不安の再燃で大幅株安、政策協調なければ通貨安連鎖も

1月30日、米FOMCでの資産購入規模の削減決定をきっかけに新興国不安が再燃。日経平均は前日の大幅高から一転、一時500円を超す急落となっている。写真は東京証券取引所(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 30日 ロイター] -米連邦公開市場委員会(FOMC)での資産購入規模の削減決定をきっかけに新興国不安が再燃した。日経平均は前日の大幅高から一転、一時500円を超す急落となっている。

米連邦準備理事会(FRB)は新興国市場の混乱にあえて言及せず、足元の景気回復に自信を示したとも取れる今回の決定だが、海外年金等の実需勢は慎重姿勢を続けており、市場の不安心理解消へ国際的な政策協調の強化を求める声も少なくない。

30日の東京株式市場では、寄り付きからリスク回避の動きが強まり全面安の展開となった。一時は節目の1万5000円を割り込み、昨年夏場以降のレンジ上限になった1万4800円のサポートラインが意識されている。FOMCの決定は市場予想通り、月間100億ドルの資産購入削減だったが、声明文で新興国市場の混乱について言及がなく、利上げ実施にもかかわらずトルコや南アフリカの通貨が下落。新興国への不安が再燃した。さらに資産購入の減額決定が全員一致であり、市場はややタカ派的なバイアスも読み取った。「FRBが足元の景気に自信を持っていることは示されたが、市場にはイエレンFRB新議長就任待ちのムードが広がっている。まずは2月の議会証言が注目される」(野村証券投資情報部課長代理の寺田絢子氏)との声が出ている。

売りの主体は海外ヘッジファンド勢とみられている。現物と先物が逆ザヤとなる場面が多く、先物売りによる裁定解消売りが日経平均の下げ幅を拡大させた。これに年度末を控えた国内機関投資家などの利益確定売りも加わった。

昨年末に日本株のポジションを積み上げたヘッジファンドの多くは、年初から整理売りを進めていたが、「イエレン新体制で迎える3月のFOMCでは資産購入の減額加速もあり得るだけに、売りを急いだのではないか」(準大手証券)という。新興国通貨安は売り仕掛けの格好の材料にもなった。「すでにヘッジファンドの整理売りは終盤に入っている。明日以降も日経平均が400―500円規模で下がるという展開は考えにくい」(大和証券投資戦略部ストラテジストの熊澤伸悟氏)ものの、株価浮上のきっかけがつかめない。

足元では個人投資家の買いが相場を下支えしているが、やはり日本株のけん引役として期待されているのは海外投資家だ。2013年に日本株を約15兆円買い越した海外勢は、年初から一転売り越している。大和住銀投信投資顧問の経済調査部長、門司総一郎氏は「海外長期資金の動きが止まっているためヘッジファンドの動きが必要以上にクローズアップされている」と指摘する。今年に入ってきょうまで18営業日のうち日経平均終値が300円以上動いたのは7営業日とボラティリティの大きさが目立つ。「海外投資家は昨年までに日本株のポジションをある程度高めた。今後は新興国通貨の落ち着き次第だろう」と大和住銀の門司氏はいう。

市場の一部ではFRBの予見性が話題になっている。昨年9月のFOMCで予想外の量的緩和縮小見送りが決まった際には、流動性相場継続をはやして直後に日米の株価が上昇したものの、その後に米政府機関の一部閉鎖や経済指標の悪化で株価は沈んだ。結果的にはFRBが発したのは弱気サインだった。今回は逆であり、緩和縮小継続は3日の米ISM製造業景気指数や7日の米雇用統計が上振れるサインとの見方が浮上している。ただ、仮に指標が上振れた場合、株価が素直に上昇するか、一段の緩和縮小が意識され新興国市場がさらに混乱するかは不透明だ。

一方で昨年5月にバーナンキFRB議長が量的緩和策の縮小を示唆した時と異なり、米長期金利は低下している。リスク回避の資金が流れ込んだだけでなく、「寒波の影響などで米経済指標が悪化するとの読みでヘッジの米国債買いが入っている。FRBの緩和縮小は目先の景気ではなく、住宅価格の上昇など過度なリスクテイクの弊害を意識した」(準大手証券)との指摘もある。疑心暗鬼は深まるばかりだ。

日経平均の予想PERは約15倍まで低下し、バリューション面では割安感もあるが、「先行きの利益見通しに自信が持てなければ話は別」(みずほ証券投資情報部長の倉持靖彦氏)だという。新興国の景気が極端に減速すれば、いずれ先進国経済にも影響は出てくる。目先の米景気回復はフォーカスされにくくなってくる。「個別の国レベルでは対応に限界がある。G20(主要20カ国・地域)首脳会議などを通じて国際協調し、通貨安を断ち切るイニシアチブを出すことが必要」と倉持氏は指摘している。

河口浩一 編集:伊賀大記

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up