[東京 6日 ロイター] - ソニー 6758.Tは31日、 2014年3月期の連結当期純損益(米国会計基準)を1100億円の赤字(前年同期は430億円の黒字)に下方修正したと発表した。従来予想は300億円の黒字で、2年ぶりの最終赤字に転落する。
パソコン「VAIO」事業は売却して撤退し、10年連続で赤字になる液晶テレビ事業は来期に分社化して収益構造の改善を図る。
黒字化を目標にしていたエレクトロニクス事業は今期、3年連続で赤字の見通し。液晶テレビとパソコンの赤字がかさむほか、リチウムイオン電池の減損損失を計上したことが響く。
今期の構造改革費用は従来から200億円積み増して700億円とする。パソコン事業の減損損失のほか、追加の人員削減費用に充てる。
<液晶テレビ事業、今期250億円の赤字へ>
液晶テレビ事業も4―12月で91億円の赤字となり、通期で250億円の赤字(前年同期は696億円の赤字)を見込む。通期販売計画は1400万台(同1350万台)で据え置いたが、高付加価値製品の投入の遅れや、新興国市場の通貨安などが響く。
2011年秋に策定した液晶テレビの構造改革計画は13年度の黒字化を目標にしていたが、今期も赤字に陥ることで、同事業は、2014年7月をめどに分社化し、完全子会社として運営する。
記者会見した平井一夫社長は、テレビ事業の分社化について「事業責任を明確化し、効率的でスピーディーな体制にする」と述べた。同事業の売却については「具体的なプランはない」とした一方で「一般論だが、将来的に色々な話があるので、場合によっては考慮する」とも指摘した。
<VAIO売却を発表、グループで5000人の人員削減も>
パソコンのVAIO事業も赤字が続いていることで、2014年春モデルを最後に事業撤退する。今後、モバイル事業は「エクスペリア」ブランドのスマートフォンとタブレット端末に集中する。
同日、投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京都千代田区)が設立する新会社にパソコン事業を売却することで合意。売却額は今後協議していくが、3月末までに正式契約を結び、7月1日の譲渡を目指す。新会社は当初、ソニーが5%出資する。ソニーの長野工場(安曇野市)を譲り受けて、日本を中心にVAIO事業を展開する
新会社には、ソニーのパソコン事業の1100人のうち250―300人程度が移る。これを含めてソニーは、14万5800人のグループ全体で2014年度末までに5000人(国内1500人、海外3500人)の人員を削減する。すでに、社員数5000人を抱える製造子会社「ソニーイーエムシーエス」の5工場で早期退職を実施している。
<来期のエレクトロニクス黒字化を強調>
14年3月期のスマートフォン(スマホ)の販売計画は4000万台(従来計画4200万台、前年同期3300万台)に下方修正。中国を含むアジアと欧州の一部で想定を下回った。4年1─3月期の想定為替レートはドル104円(従来想定100円)、ユーロ140円(従来想定130円)に、それぞれ円安方向に見直した。
平井社長は来期について、液晶テレビ事業を11年ぶりに黒字化する方針を強調した。また、エレクトロニクス事業も、来期は4年ぶりの黒字化を目指す考えを示した。
来期の構造改革費用は今期と同じ700億円を計画。今期の追加費用を含めた構造改革効果は、2015年度以降に年間1000億円以上を見込むという。
(村井令二 編集:宮崎亜巳)
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