[キエフ 19日 ロイター] -情勢が緊迫化しているウクライナのヤヌコビッチ大統領は19日、反政権派指導者らと「停戦」で合意したと発表した。反政権派と治安部隊との衝突で少なくとも26人が死亡したのを受け、これ以上の流血を食い止めるために交渉を進めるとした。西側諸国は、ヤヌコビッチ大統領に歩み寄りを求める圧力を強め、制裁発動の可能性を示した。
大統領府ウェブサイトに掲載された声明によると、大統領は3人の反政権派主要リーダーとの協議で、まずは停戦で合意し、次に流血の惨事を食い止めることを目的とした交渉を進め、国家の安定化を図ることで合意した。
ウクライナでは、ヤヌコビッチ大統領が昨年11月、ロシアからの支援を受け入れ、欧州連合(EU)との協定締結を見送ったことが引き金となり、反政府デモが続いている。
ウクライナ保健省によると、18日からのキエフでの衝突で警官10人を含む26人が死亡。同省当局者は、主に銃弾などで負傷したデモ隊263人、警官342人が治療を受けていると話した。
欧州連合(EU)は「ウクライナ当局者による過剰な暴力の不当行使」を強く非難し、暴力の責任を負う当局者に的を絞った制裁の準備を急いでいると明らかにした。
ただ、対話経路を維持するため、ヤヌコビッチ大統領自身は制裁対象にならないとした。
ドイツとフランス、ポーランドの3カ国外相は20日にキエフを訪問し、同日開く臨時のEU外相会議で制裁を検討する前に状況把握に努める。
米国はヤヌコビッチ大統領に治安部隊の撤収を求め、反政府勢力との対話を促した。
ケリー米国務長官は訪問先のパリで、米政府もEUと同様の制裁を科す用意があるとの立場を示した。
欧州投資銀行(EIB)は、治安が悪化しているウクライナでの活動を凍結したと発表した。また、欧州復興開発銀行(EBRD)は、ウクライナでの活動は停止していないが、同国政府とのやり取りは既に縮小していると明らかにした。
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