[マニラ 1日 ロイター] -アジア開発銀行(ADB)は1日、2014年版アジア経済見通しを発表した。アジア太平洋地域45カ国の2014年成長率予測は6.2%で、2013年の成長率6.1%からやや加速するとした。2015年の成長率は6.4%と予想している。
ADBは「域内各国の大半は経済ファンダメンタルズが強化された」と指摘。成長の先行きリスクは緩和されたとした。
その一方で、上向きとなっているアジア経済にとって重しとなりそうな要因として、米国の緩和策縮小や政策引き締め見通しに伴う金融市場への一段の世界的ショック、先進国でまだら模様となっている回復状況、信用拡大の抑制を目指す中国の成長鈍化の可能性を挙げた。
2014年の中国の経済成長率は7.5%と予測し、昨年12月時点の予想と変わらず。15年については、中国がより公平かつ均衡がとれ、持続可能な成長を目指す政策を志向する中、成長率は7.4%に鈍化する可能性があるとした。
インドについては、14年の成長率予測を5.5%とし、2013年の4.9%から加速するとした。ただ、12月時点の予想5.7%からは下方修正した。一方で、投資関連の障害により、潜在力を下回る成長となっていると指摘した。
世界的に景気が改善しており、マレーシア、シンガポール、ベトナムがけん引する形で東南アジアの今年の成長率は2013年と同じく5.0%になると予測。12月時点の予想は5.2%だった。タイについては、政治の混迷が引き続き成長を抑えるとし、成長率が加速するのは2015年になるとの見通しを示した。
アジア開銀はまた、世界の商品価格が引き続き抑えられる中、アジアのインフレ率は3.6%と、昨年の実績である3.4%から上昇するものの、総じて安定するとの見通しを示した。上昇リスクとなりそうなのは一部の国における燃料補助金や電気料金の調整だとした。
*英文の訂正により、見出しと、第1および第4─6段落の内容を訂正しました。
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