[シドニー 23日 ロイター] -オーストラリア連邦統計局が発表した第1・四半期の消費者物価指数(CPI)は、伸びが市場予想を下回った。今回の数字は、インフレ率が長期目標の2―3%で安定して推移するという豪準備銀行(RBA)の見方を裏付ける内容となった。これにより、年内の利上げ圧力は大きく後退し、豪ドルは急落している。
市場関係者の見方は以下の通り。
●金利動向の手掛かりとはならず
<コモンウェルス銀行のチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏>
インフレをめぐる懸念がやや後退するだろう。
インフレ指標の大半は依然目標レンジの上限にあるため、中銀が緩和バイアスに戻ることはない。
数週間後に発表される次の声明では、予想の修正は小幅にとどまる見通しだ。
(CPIは)利上げを明確に確信・否定する手掛かりとなる内容ではない。
●中銀は中立バイアス維持へ
<AMPキャピタル・インベスターズのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏>
肝心なことはインフレ率は依然穏やかであり、豪中銀に早期の利上げを求める圧力がないことだ。豪中銀が緩和バイアスを回復させるとは思わない。中銀は安心して中立バイアスを維持することができるだろう。
豪ドルが下落したことは驚くに値しない。市場はより高水準のインフレ率と早期の利上げの可能性を織り込んでいたと私は考えているが、そうならなかったため、豪ドルは0.5%下落した。
●インフレは引き続き穏やか
<JPモルガンのエコノミスト、ベン・ジャーマン氏>
市場予想より明らかに弱い数字となった。数四半期にわたり予想を上振れる内容が続いていたが、ここで途絶えたことは興味深い。
豪準備銀行(RBA)は政策金利を低水準で維持することがかなり明確となり、インフレは引き続き、比較的穏やかなようだ。
●インフレ基調はそれほど強くない
<RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、マイケル・ターナー氏>
インフレの基調がそれほど強くないことを示している。第1・四半期は、変動要因を除いた市場価格はほぼ横ばいで、サービス部門のインフレは抑制されていた。第4・四半期の高い水準は、弱い賃金の伸びや失業率上昇と相容れなかった。この2つを平均すると、おそらく中銀にとっては悪くない内容だ。
来年第2・四半期まで利上げはないと予想される。やや早まることがあっても、それほど早い時期にはならないだろう。
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