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コラム

訂正-コラム:東芝問題、日本の企業統治改革には「けがの功名」か

(本文5段落目の「更迭した」を「交代」に訂正します)

[メルボルン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 東芝の失態は、日本全体にとってかえって「けがの功名」になるかもしれない。かつて日本の技術開発の中心に位置した東芝は、また新たなスキャンダルの渦中に放り込まれた。10日に公表された外部弁護士の調査報告書によると、同社は政府と結託して株主の権利を台無しにした。そのため以前にまとめた内部報告の信頼性も損なわれた。だがこれは有意義な出来事になるとやがて判明するはずだ。

東芝に対する外国人投資家の圧力が最高潮に達したのが、昨年7月に開かれた定時株主総会だった。そこでこれら投資家が提出した取締役選任案は否決されたものの、今回の調査によって投票結果は公正性が欠けていたことが分かった。東芝は経済産業省の力を借りて、米ハーバード大学基金の議決権行使を思いとどまるよう迫り、結局同基金は投票を棄権したからだ。東芝は筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが推薦する取締役が選任されないよう、経産省と「画策」したとも指摘されている。

この経産省の姿勢が事態をさらに紛糾させる原因だ。同省は日本の企業統治改善を後押しし、2018年のコード改訂にも携わっている。その結果、物言う株主(アクティビスト)が進出し、オリンパスのように一部は経営陣に迎えられるまでになった。

ところが企業統治改革を阻止しようとした東芝の動きに経産省が加担したとされることで、影響力を持ち古めかしい大企業の経営陣を守るために日本政府が裏で手を差し伸べているのではないかとの懸念が生まれている。これは日本の大企業の改革ペースが遅く、今なお多額の手元資金を抱え、企業価値が簿価を下回っている光景があまりに日常化していることの説明にもなる。

東芝は構造改革の努力に乗り出し、最近は最高経営責任者(CEO)を交代(訂正)。しかし過去の会計不祥事や米原発事業の頓挫に続く今回の問題は、同社が抱えている問題の本質を映し出している。新たに設置が決まった社外取締役で構成する「戦略委員会」は、まだメンバーが指名されていないものの、その動きは非常に高い注目を集めるだろう。もっとも足元の状況を踏まえれば、同委員会として東芝と菅政権の双方にとって最善の方法は、同社を取り巻いて活動している買収ファンドの1つに身売りすることだとの結論を避けるのは難しい。

こうした日本製造業の顔と言うべき企業の身売りは、国内に激震を呼ぶ。同時にそれは日本企業固有の閉鎖性を揺さぶろうとする株主の権利を向上させる。政府にも監視の目が向けられることで、企業統治改革に弾みがつくはずだ。そうなった段階で、東芝は日本の役に立つという目的を果たすことになる。

*本文5段落目の「更迭した」を「交代」に訂正します。

●背景となるニュース

*東芝が10日公表した定時株主総会の運営に関する外部弁護士の調査報告書には、同社が経済産業省とともに行った「画策」が株主の権利を損なったとの結論が示された。

*調査によると、昨年7月20日の総会で東芝は事実上日本政府の力を借りて、米ハーバード大学基金の議決権行動の変更を促そうとした。また東芝と経産省は、株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントに議決権行使を巡る調査要求提案を取り下げるよう圧力をかけようとしたという。

*ハーバード大基金は、日本政府のアドバイザーから東芝経営陣の提案を支持しない場合、規制問題にかかわる調査の対象になると伝えられた、と以前にロイターが報じている。

*東芝は報告について「内容を慎重に検討する」とコメントした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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