[東京 31日 ロイター] - 公認会計士協会の森公高会長は31日の会見で、東芝6502.Tからキヤノン7733.Tヘの東芝メディカルシステムズ売却に関し、一部で独占禁止法の趣旨に反する脱法行為との指摘があることについて「個別の事案には答えない」と述べた。
そのうえで一般論として、公正取引委員会が今回の案件を認めなければ、東芝による売却益計上が会計原則上、認められない可能性に言及した。
会見では、17日に契約が締結された東芝からキヤノンへの東芝メディカル株式売却に関する会計上の問題点に関し、質問が提起された。それによると、東芝は、公正取引委員会が独禁法上の観点から審査を終了していないにもかかわらず、契約が有効に成立したとして、2016年3月期決算に売却益を計上する方針。これは会計上可能なのか、という内容だった。
これに対し、森会長は一般論と断ったうえで、モノの所有権が移転しているかどうかなどの「経済実態」に即して、会計処理していくべきだとの見解を示した。
そのうえで公取委が買収を承認しない場合、経済実態がないとの認識になるのか、との質問に「その可能性が高い」と指摘。承認がない場合、利益計上が認められない可能性に言及した。
また、東芝が特別目的会社(SPC)を設立し、独禁法の規制の一部を回避しようとしていたのではないかとの質問には「個別の事案に答える立場ではない」と述べるにとどまった。
この契約をめぐっては、キヤノンとともに買い手として名乗りを上げていた富士フイルムホールディングス4901.Tが、SPCを経由した売却スキームは独禁法上問題だとして東芝に質問状を送付した経緯がある。
和田崇彦 編集:田巻一彦
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