(11日配信の記事で、本文5段落目の「ビル事業」の記述を削除し、訂正します)
[東京 11日 ロイター] - 東芝は11日、2023年3月期の営業利益予想を従来の1700億円から1250億円(前年比21.4%減)へ下方修正した。IBESがまとめたアナリスト11人のコンセンサス予想の平均値1722億円を下回った。輸送費や資材高のほか、ハードディスク(HDD)製品の品質保証関連の引当金、のれんの減損などが影響する。
東芝は6月に発表したグループ経営方針で、22年度の営業利益の見通しを1700億円、25年度目標を3600億円、30年度目標を6000億円としていた。今回下方修正で未達となる可能性もあるが、平田政善CFOは「来年以降データをベースにしたビジネスを拡大していくため、どこかの段階で大きな売り上げになる」と述べるにとどめた。今後の中期計画の進捗は改めて説明する予定という。
為替の円安で、今期の売上高見通しは従来の3兆3000億円から3兆3500億円(前年比0.4%増)へ引き上げた。
セグメント別では、HDDを手掛ける半導体事業のデバイス&ストレージで減益を見込む。HDDは景気後退懸念を背景に、各メーカーが投資を抑制。HDDの市況について、東芝デバイス&ストレージの佐藤裕之社長は「本格回復は来年度という見通し」と述べた。
併せて発表した22年4─9月期の連結営業利益は、前年同期比93.9%減の27億円だった。セグメント別では、HDDの保証引当金のほか市況変動などが影響し、デバイス&ストレージが減益。原子力・火力の大型発電設備などを手掛けるエネルギーシステムも引き続き損失を計上した。
複合機などを扱うプリンティング事業では、連結子会社の東芝テックの株価下落などを受けたのれんの減損を計上した。
同社が進める経営再建に向けた戦略的選択肢について、平田政善CFOは「今日現在、新しく紹介するような事象は起きていない」と述べ、詳細についてのコメントを控えた。その上で「経済活動が変わっているので、当社だけではなく、当社に興味を持っていただいている方もいろいろな検討をしていくだろう」との認識を示した。
ロイターは6日、東芝再建を巡り、現経営陣の処遇が日本産業パートナーズ(JIP)と産業革新投資機構(JIC)の間で焦点の1つになっていると報じた。複数のメディアによると、JIPは東芝に正式に買収提案をしたという。
東芝の通期純利益予想は非上場で半導体子会社のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)の予想値を策定できていないことから、非開示としている。キオクシアは需要動向に沿って生産調整を実施しており、10月から当面ウエハー投入量の約3割を削減すると発表している。
(佐古田麻優 編集:青山敦子)
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