[東京 18日 ロイター] - トヨタ自動車が出資し、「空飛ぶ車」と呼ばれる電動式の垂直離着陸機を開発する米新興企業ジョビー・アビエーション(カリフォルニア州)は18日、国土交通省に型式証明の取得を申請したと発表した。型式証明は商業運航も含めて安全に⾶⾏できることを国が証明するもので、日本での事業展開の前提となる。
ジョビーが開発しているのは、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の要素を併せ持つ電動の機体「eVTOL(=イーブイトール)」。5人乗りで、最高速度が時速約320キロメートル、連続飛行が可能な距離は約240キロメートル。自動車で1時間ほどかかる大阪駅(大阪市)から関西国際空港(大阪府泉佐野市)までの所要時間を15分以内に短縮できるという。
海外製の空飛ぶ車が日本で型式証明を申請したのは初めて。2021年にスカイドライブ(愛知県豊田市)が申請したが、まだ型式証明を取得できていない。取得には飛行試験など厳しい審査を経る必要があり、数年かかる。ジョビーの型式証明申請は米国、英国に続き3カ国目。
国交省も同日、空飛ぶ車の制度整備で連携を強化するため、米国連邦航空局(FAA)との声明に署名したと発表した。FAAが型式証明を審査中のeVTOLを日本の同省でも審査するケースは今回が初めて。
ジョビーは24年に米国で空飛ぶ車の運航事業を展開する計画で、日本での事業展開では、トヨタが乗降場所までの地上送迎サービスを担う。ANAホールディングスも大都市圏を中心とした旅客輸送サービス実現に向け、運航システムの開発やパイロットの訓練、航空管制や離着陸ポートといった地上インフラ整備などを共同で進めており、25年の国際博覧会(大阪・関西万博)でのサービス実現も目指している。
ジョビーは09年に設立。トヨタは18年に傘下のベンチャーキャピタルを通じてジョビーに資本参加し、20年には3億9400万ドル(発表当時の円換算は約430億円)を出資した。「トヨタ生産方式」のノウハウを提供し、設計・素材・電動化の技術開発に関わり、品質とコストを両立させる機体の量産化を推し進めている。
eVTOLは運用・メンテナンスのコストを抑えつつ、安全性・環境性・静粛性などに優れ、道路渋滞や過疎地の輸送など、さまざまな交通課題を解決できる新たな移動サービスとして注目されている。
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