June 23, 2018 / 11:42 PM / 25 days ago

アングル:米中摩擦激化、貿易フローの変動に備える石油市場

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米中貿易摩擦が激化する中、石油市場は世界的な貿易フローの変動に備えている。中国は原油を含む多様な米国製品に25%の輸入関税を課す方針を表明。ただ、こうした措置がいつ実行されるかは明らかになっていない。

 6月20日、米中貿易摩擦が激化する中、石油市場は世界的な貿易フローの変動に備えている。テキサス州ミッドランドで2017年5月撮影(2018年 ロイター/Ernest Scheyder)

中国は今年、平均で日量33万バレルの米国産原油を輸入している。

この措置は、トランプ米大統領が表明した500億ドル相当の中国からの輸入品に関税を掛ける方針への報復だ。さらにトランプ大統領は中国の対応を受け、2000億ドル規模の中国製品に10%の追加関税を課すと警告した。

中国側の関税により、現在は月間約10億ドル規模となってる米国産原油の中国への輸出が制限される可能性がある。

トムソン・ロイターのデータによると、7月には約1400万バレルの米国産原油が中国に到着する予定。これは月間では過去最高となる。

輸入関税により中国における米国産原油の価格競争力は低下するため、中国への原油輸出は急減するのが必至だ。このため米国の石油会社は他の輸出先を探さなければならなくなる。

中国の通関統計によると、中国の輸入原油全体に占める米国産原油の比率は約5%となっている。

ICAPのブローカー、スコット・シェルトン氏は「(米国の石油)業界が新たな輸出先を見つけ出すのには2、3カ月を要するだろう」と述べ、米国産原油は欧州と地中海地域への輸出が増えそうだと付け加えた。

ただ米国産標準油種(WTI)の価格は北海ブレント原油よりも1バレル当たり10ドル程度低い水準で推移している。

多数のトレーダーは、米国産原油の対中輸出フローが減速すれば、WTIと北海ブレントの価格差は拡大すると予想している。その場合、他の産油国は、欧州など中国以外の巨大市場で低価格の米国産原油が大量に供給される状況に対処しなければならなくなる。

一方で中国は、ロシアとサウジアラビアからの輸入を増やして米国産原油に置き換える公算が大きい。

サウジとロシアは既に、今週開催される石油輸出国機構(OPEC)総会での増産合意へ向け働き掛けている。

ある米国のトレーダーは「中国は(米国産原油を)代替する輸入を増やし、他の輸入国は米国産原油の輸入と拡大するという椅子取りゲームのような入れ替えが行われる」と話した。

過去2年間で石油生産量が3割強ほど増えた米国は、市場の需給バランス維持を維持する上で輸出に大きく依存している。

米国では現在、中国向けを中心とする輸出増加見通しに基づき、輸出をさらに促進するため巨額の資金を投じたインフラプロジェクトの建設が進められている。

テキサス州コーパス・クリスティ港湾当局の責任者、ショーン・ストローブリッジ氏は「コーパス・クリスティ港は世界市場、特に中国へのゲートウェイだ」と述べ、同港から中国へのエネルギー輸出を長期的に増やす意向を示した。

その上で同氏は「政治的な逆風は今後和らぐと確信しているので、必要とされるインフラを開発し続ける取り組みを放棄することはない」と強調した。

一部のトレーダーは、米中貿易摩擦が一段と激化して全面的な貿易戦争に突入すれば、米国産原油は価格がさらに押し下げられ、輸出が停滞すると予想している。

アゲイン・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は米国産原油について「販売は停滞して在庫はだぶつき、(北海ブレントとの)価格差は解消されず、底打ちするまでは状況が悪化するだろう」と語った。

世界最大の原油輸入国である中国としては、北海ブレント価格が相対的に高い状況は、石油の輸入が従来より割高になることを意味する。

ウッド・マッケンジーの北米原油市場担当シニアアナリスト、ジョン・コールマン氏は、こうした状況は中国の石油精製業者には不利な条件になると説明した。

こうした中、22日にはウィーンでOPEC総会が開かれ、OPEC加盟国と非加盟産油国による減産合意を巡る協議が行われる。

ロシアとサウジアラビアは、米国の対イラン制裁に伴う影響に加え、ベネズエラでの生産の落ち込みを埋め合わせるため、増産を働き掛けている。

ロシア産のウラル原油は、中国の独立系石油会社が好んで使っている。

北海ブレントとドバイ原油の価格差が拡大する中で、中東産原油のインドなどアジア諸国への輸出は、過去2カ月で増加している。

こうした状況を背景に、ムルバンなど中東産軽質原油は中国へ輸出されやすくなっている。

全般的にみてトレーダーは、米国産原油に対して中国が輸入関税を課した結果として、深刻な供給不足が生じるとは想定していない。

英石油大手BPのチーフエコノミスト、スペンサー・デイル氏は「世界はとてつもなく大きく、大量の石油が消費されているため、輸出先が変わるからといって極めて厳しい事態にはなりそうもない」と指摘。「石油の貿易フローはある程度変わるかもしれないが、それが大きな混乱の根源になるとは考えていない。米国から中国に供給されるはずだった石油の一部は、他の国へ輸出されるだけだ」と付け加えた。

(Devika Krishna Kumar記者、 Ayenat Mersie記者)

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